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……………
「もう!サリバー、文句が多い!」
ビッキーはぷくっと膨れて、シートに座ったままジムの顔を見上げた。
「文句以前の問題だ!この店基本、ブロマイドと壊れたトンカチしか売ってないぞ!?誰が来るか、こんなマニアックな店!」
既に開催時刻の11時を過ぎており、客も次々ゲートをくぐってフリーマーケットにやってきている。
…が、未だジムビキ店への来店客数はゼロだ。
皆、変な目で商品を見てコソコソ話しながら素通りしていく。
「とにかく、このままじゃいけない。商品にならなそうなものは今すぐ片付けろ!」
「えー…だってぇ」
「いいから…」
「ねぇ?あそこじゃない?」
「おっ、やってるな」
そこへ若い男女二人組が、確実にこちらを見ながら歩いてきた。
え!?
マジで?こんな店に客が?
咄嗟にビッキーから目を離して、呼びかけを行おうとしたが…
「いらっしゃ………なんだ、お前らかよ」
「なんだってなんだ?失礼な店だな」
やってきたのは仕事仲間アダルト組の、ナイジェルとサラだった。
「いや、お客さんかと思ったからよ」
「私達だって立派なお客様でしょ?せっかくフリマに出店するって聞いたからわざわざ休みを潰して来てやったのに」
いつも通りの冷めた口調のサラ。
彼女はだるそうにしゃがみ込んで、商品を見渡してみる。
「なにここ?IKEA?」
「ニトリだよ!」
横に立ったままのナイジェルも、咥えていたタバコを指に挟み眉間にシワを寄せていた。
「変なもんばっか売ってんな。
まぁいい。サラ、なんか買って欲しいのあるか?女は好きだろ?こーいうキラキラしたもん」
「んー…そうねぇ」
文句ばかり言っているが、きちんと買い物には来ているようだ。
サラはある程度商品を見て、そしてひとつの品物で目線が止まった。
「あれがいい」
「あれって?」
「あれ」
サラが指差したのは、金魚鉢に入った真っ赤な金魚さん達。
「は?魚が欲しいのか?」
「そう。あれがいい」
「んん…まぁ…そんなに欲しいなら買ってやるけど…」
ジムが口をぽかんと開けている中、ナイジェルはとりあえずポケットから年季の入った黒財布を取り出す。
「ビッキー。その魚いくらだ?」
「うんとー…一匹100円だからぁ…1…2…3……4、5!5万円!」
「どういう計算してんだ!この中500匹入ってる事になるぞ。はい、500円な」
「ちぇっ!」
上手くぼったくれず(当たり前だが)頬が膨れたまま500円を右手で受け取る。
とりあえず身内と言えども、商品が売れた事には変わりない。
初収益だ。
「毎度ありー。おふたりさんフリマデート楽しめよー」
ジムがヘラヘラして手を振る姿を背景に、ナイジェルは水の入った金魚鉢を抱え、サラと共に帰って行った。
「…結構重いな。サラ、こーいうの好きなのか?」
「えぇ。なかなか良い鉢じゃない。欲しかったのよ、こういうのが」
「は!?お前が欲しかったのって、魚じゃなくてこの鉢なのか?」
「そうよ」
「…え?じゃぁ中の金魚は?」
「フライにしたら美味しそうね。小さすぎて3枚におろすのは難しいかな」
「フラッ…フライ!?」
「ダメ?じゃぁ、リッキーにあげるわ。こういう小さい生き物好きそうだし」
「どっちにしても猫に食われるだろーが!可哀想だ。いらないのなら俺が飼う!」
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