……………


「聞いてくれよ!コイツまた俺を掃除機とか言って、足に使おうとしたんだぞ?酷いと思わないか!?」

「あははっ!なにそれぇ!ナイジェル、ネーミングセンスあるじゃん!」


夕食の時間、ビッキーの笑い声がキッチンに響いた。

本日のディナーは彼女手作りの海鮮パスタとクリームスープ。

見た目は最初の頃より大分マシになったが、彼女の料理は全体的に味付けが妙に濃くて塩分が高め。

いつもここで「おじさん(ナイジェル)が糖尿になったらどうするんだ」と、色んな人から突っ込まれているものだ。



「リッキー!私の作った今日の料理、美味しい?」

「えっ…あ、はい、美味しいですよ」

「本当に!?やったぁ、リッキーの為なら毎日でも作ってあげるよ!」

ジム「俺には全然作ってくれないのにか?」


夕食時に口数が多いのもこの小娘だ。

話題はいつも、リッキーか現在流行っているファッションやテレビ、芸能人の話。

まぁ、そのおかげで食事中のムードも良くはなるのだが、話してばかりだからか食べるスピードの遅さはダントツ。



「ねぇっ!リッキー、今日の夜空いてる?一緒に遊ぼーよ!」

ジム(小声)「お前…横に彼氏がいるのに堂々とっ…」

「今日ですか?すみません、今夜は予定が入ってて」

「えぇ〜、そんなぁ…」


しょぼんとしたビッキーの肩を、ナイジェルがのんきに笑いながら叩いてやった。

「ははっ。ま、お前は大人しく掃除機の相手でもしてろって事だよ」

掃除機「お前、いい加減そのネタ引っ張るのやめろ!」

ゴミ「ビッキーちゅぁん!今夜も僕のここ(ワキの下)空いてますよ!?」


バシャアアアン!!


ボビーは空いている部分一帯に熱々のクリームスープをぶっかけられ、悶え苦しみ床へ倒れ込んだ。

そんな状況を平和な目で見ながら、ナイジェルは水を飲むリッキーの方向を向く。


「それにしても、ネットでにゃんこばっか検索してる暇人のお前が今日は何の用事があるってんだよ?」

「あれは世の中の猫行政を把握する為の重要な研究活動ですので決して暇人ではありません。俺が夜に何をしてたっていいでしょう?」

ビッキー「わかった!今日の私との思い出を振り返っ…」

「違います」

ジム「デート?」

「違います」

ナイジェル「あっち系か…」

「全っ然違います」


仲間達の質問攻めもはぐらかすように、皿に残ったコーンを一粒ずつチマチマ食べていく彼。


ジム「そういえば、お前は夜に電話かけても出ない事が多いよな。定期的に用事でもあるのか?」

「まぁ、そうですね」

「何やってるんだ?」

「えっと……………ビンゴゲーム。」


「「……………。」」


「嘘つくんじゃねーよ!!
お前、定期的にひとりでビンゴゲームやってんのか!?何が面白いんだよ!」

「本当ですよ!嘘だという事を貴方証明出来るんですか!?」

「じゃ、電話ぐらい出ろや!」



立ち上がったジムの背中をサラが引っ張って椅子に座らせ、リッキーも咳払いをして同じように座り直す。

そしてまた一粒、コーンを口の中に入れた。


「まぁ、いいじゃないですか。俺の話は」

「えぇ〜!気になる気になる!」


「あ、ビッキー。そういえば最近近くに出来たカフェ…かなりイケメンの店員がいるらしいわよ」

「えっ!?それ本当!?詳しく教えて!」


横から口を挟んできたサラの一言で、ビッキーの興味はリッキーから噂のカフェイケメン店員に方向転換し、その話はそこで終了してしまった。


「………ッ…」


少しだけ彼女の顔をチラッと見て、最後の水を飲み終える。


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