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……………


晴れ渡る青空。

本日は2ヶ月に1度の野外レース大会の日だ。

普段行われるレースは屋内が多いが、会場まで足を運べない人の為に
各地の屋外のレース会場をまわり、プロの走りを見せる外での試合が開催される。


この企画は客の中でも特に評判が良く、ウィンディランの名物レースとも言われている。



「おっしゃ、今日も気合い入れていくぞ」

「おう!」


何も知らないジムとビッキーが控え室で騒いでいるが…

あんな事があった翌日だ。

当然の事ながら気合いなど入るわけがない。


はぁ…完全にプロ失格だわ。


サラは無意識に肩を落としてしまった。


ナイジェルは普段通り軽いウォーミングアップを行って…

いや、前の彼ならウォーミングアップなんて真面目な運動は絶対やらなかったから、

「普段通り」じゃなく「ここ最近始めた」か。


よくわからない説明は置いておいて、問題のリッキーに目を向け…



「ッ…」


予想外の光景に頭上に「?」が浮かぶ。



「おはようございます。ビッキー、今日も元気ですね」

「あっ!リッキーおはよう!今日も頑張ろうね!」

「久しぶりの野外ですもんね。俺も早く走りたくてウズウズしてますよ」


ニコッと可愛らしく微笑むと、リッキー命の彼女は一撃必殺。


「きゃぁぁっ!なにその顔、萌萌!可愛い〜〜ッ!!」

「ふぐっ!(潰)」

ジム「今のはリッキーの自業自得だ。レース前に怪我するなよ」


昨晩あんな事があったのに、思ってたより彼はいつもと変わらなかった。

優しく微笑む笑顔も謙虚な言葉も、全部が普段通り。

こちらは本物の「普段通り」

もっと気まずくて暗い顔をしてるかと思っていたから少し意外だった。

私達に気を遣ってるのだろうか。

はたまた、もう忘れた事にしてくれているのか。



「君達、いつまでくっちゃべってるんだい!?もう始まるのだぞ!」

怒り狂ったボビーが控え室まで迎えにきた。


もうそんな時間か…


色々考えてはいけない。


こうやって中途半端な気持ちでレースに臨むと、痛い目を見る事はあの事件でよく学んだはずだ。

とりあえず一旦全て忘れる為に、ぱちんと頬を軽く叩いて立ち上がった。


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