33


……………


「よし。今日のレース内容のおさらいをするぞー!集まれー!」


ジムのかけ声で全員が控え室、ホワイトボードの前に集まった。

いつもレース前には、今日はどのコースを走るのか、事故を起こさない為の注意点等を改めておさらいするとして、リーダーの彼が毎回説明を行う。

これが終わった後、全員がライダースーツに着替え、そして観客が待つスタンドへ向かうのが日課となっている。



「今日のコースはこの第8コース!このコースは非常に曲がりカーブや障害が少なく走りやすいコースだ。
ジャンプも少ないから、調子に乗って飛ばしすぎないよう気をつけろ」


この第8コースは、私が事故を起こす前のナイジェルが最も得意としていたコース。






細かなテクニックが不要の為、ターボ能力が最も長けている彼の十八番のコース。

ここでナイジェルが負けた所はほとんど見た事がなかった。

その代わり、操作を重視した私にとっては最も苦手なコースなのだが…。











…意識してるにしても無意識にしても、ずっと手を抜いてナイジェルの後ろを走っている――…












「……ッ…」

「ん?どうした、サラ?」

「あぁ…何でもない」


突然顔色を変えた彼女に気づき、ジムが声をかけた。


先日リッキーから言われた事が、突然頭の中によぎってきていた。

私はナイジェルの事が心配で、彼の後ろを走っていた事は紛れもない事実だ。

しかしそんな行動、周りで真剣に戦っている仲間にも失礼だし、何よりスポーツマンとして競技に私情を持ち込むなんて言語道断。


今日は…真面目に走らなければならない。


左斜め前に座っているナイジェルの背中を、意味もなくただ見つめた。




「はい、じゃぁおさらい終了!ライダースーツに着替えて20分後、またここに集合な!」



気がついたらジムの説明はいつの間にか終わっていた。

正直、全く聞いていない。

椅子から立ち上がり、歩き出すビッキーやボビー。そしてナイジェル。


さっき反省したばかりなのに、緊張感が足りてないな…私。


小さく息を吐き、女性用更衣室へ足を運んだ。


- 464 -

*PREV  NEXT#


ページ: