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……………

「あ!そうだ。私、サラさんにプレゼントを用意してきたんです。見てもらえますか?」

「プレゼント?」


騒動はすぐに沈静化し、席に改めて座り直したロビン。

話題を変えようと高そうな革の鞄からひとつの小さな箱を取り出し、それを綺麗な手つきで彼女に手渡していた。


「わぁ。開けてみても良いですか?」

「もちろんですよ」


そっと開くと中には宝石で出来た、透明に光り輝く百合のブローチが入っていた。


「っ…綺麗!」

「これは美しい」


箱の中のあまりの美しさに、彼女の父親も身を乗り出して娘の手を覗き込む。


「いつの間にこんな物を?」

どうやら母親にも内緒にしていたようで、彼女も驚いている顔だ。


「ブラジル産の貴重な水晶を100%使用した高級ブローチです。白も若干混ざっていて綺麗でしょう?サプライズでプレゼントしようと思っていたからママにも教えていなかったんだ」

「そんな豪華なものを…私なんかに?」

「貴方の為にわざわざ取り寄せたんですよ。ほら、付けてみてください」

「…は…はい」


「高級」と聞いた以上、手荒な真似は出来ない。

彼女は微かに震える手つきでそのブローチを胸元に。

付けた後も輝き続けて、サラも思わず目を奪われる。


「とても似合ってますよ。綺麗です」


彼も彼の母親も、あの厳しい父親でさえサラを見て微笑んでいる。

そんな場面に、珍しくほんの少しだけ顔を赤らめていた。


「ありがとうございます。おいくら位したんですか?」

「プレゼントに値段を訊くなんて野暮ですよ。女性は送られた物を黙って受け取れば良いんです」

「ご、ごめんなさい」

「はは。まぁ気になりはしますよね。大きな声では言えないですがウン百万の単位ではありませんよ」


…という事は一千万円以上!?

彼女は思わずブローチから手を離し、口元に手を当てて驚いた。


「そんな高価な物、私なんかが貰って良いんですか!?」

「だから貴方の為にわざわざ買ったんです。ほら、ふたりでお揃いになるようにもうひとつ買ってるんですよ」

彼は鞄の中から同じ箱を取り出した。

こちらは薔薇の花だ。

軽くそれをサラに見せた後、自分の胸元に付けた。


一千万円以上のブローチをふたつ購入…

今までの生活とあまりにかけ離れた世界に身震いがした。


「これでお揃いですね」

「そ…そうですね」


相変わらず気品ある笑い方をするロビン。

サラは自分の本当の姿、彼を騙しているという感覚に罪悪感を覚えた。








さすがはセレブ同士のお見合い。

男からのプレゼントも一般人には考えられないような桁違いの金額のようで…

そんな光景を目の当たりにしていたリッキーとナイジェルは、無言で眉をヒクヒクと動かしていた。


「殺るか、リッキー」

「はい」

「例の凶器…持ってこい…」

「これかい?」


左手を伸ばしたナイジェルに対し、右手を差し出したのはボビー君。

その手には先程サラが投げつけたフォークが突き刺さっている。


「「………。」」



パタリッ


それを見たふたりはショックで何も言わず、ジムとビッキー同様気絶してしまった。


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