………………

熱い日差しが照りつける中。試合が始まって20分が経過していた。

現在の得点はAチーム19点・Bチーム5点。

Bチームがもぎ取った5点もビッキーのサーブミスであったりボビーの水着女子への余所見であったり、自分達の力で手にした得点ではない。

ジムがバレーボール経験者という事もあり、圧倒的に主導権はAチームが握っていた。


「ハイッ!スコーピオン!」


ビッキーのトスが成功し、見逃さずにスパイクをしかけるジム。

「オッシャ!任せろ!」

白い砂を蹴って高く飛び上がる。

コートの右側がガラ空きだ。

人がいない場所を確認し、脳内で攻撃のスタイルを一瞬で決める。


バコンッ!


経験者の整ったフォームから思いきりスパイクを決め込むが、誤ってそのボールがサラのいる方向へ飛んでしまった。


「あっヤベッ!サラ逃げろ!」

「っ…!」


しかし突然の強いスパイクに、彼女も足がすくんで動く事ができない。

驚く間もなくボールは一直線に彼女の顔を目がけて飛んできた。


「サラ危ないっ!」

咄嗟にリッキーが庇うように前に飛び込む。

「リッキー!」

そしてそのまた前に今度はナイジェルが飛び込んできた。

「クソッ!テメェにばっかいいカッコさせ……ブッ!」


本日3度目の頭部スパイクを喰らった彼。受けたボールはその衝撃で緩く宙に舞い上がった。

これはチャンスだ。

確信したリッキーはこの機会を逃すまいと、すかさずサラに向かって指示を出す。



「サラ、チャンスです!俺がスパイクを打つのでトスを…」

サラ「リッキー!トスしてっ!」

「え?あっ…ハイッ!」


慌てて彼女に言われるがまま、トスをするリッキー。

これも上手く決まり、ボールはスパイクを打ちやすい高さ、スピードに。

しかし一体感これをどうす………あれ?

先程まで隣に立っていたサラがいない。

見上げると太陽の光で一瞬視界を遮られたが、そこには腕ではなく別の箇所を振り上げている彼女の姿が。

次の瞬間…


ドッシャァアアア!!!


彼女の放った強烈スパイクは、ジムの頬をかすめ砂の地面へ突き刺さる。

ボールの半分以上が砂に埋もれて、そこからとめどなく灰色の煙が上がっていた。


「「……………。」」


盛り上がっていた場が途端に静かになる。

あんなのが体に命中したら…

一瞬にして真夏の太陽の下、Aチーム全員の表情が凍りついた。


そしてトスを上げたリッキーも目の前で起こった光景に、気絶しているナイジェルに抱きついてカタカタ震えている。





今…足、使ったよね?


足で打ったよね?





砂の上に器用に着地した彼女は、髪をかき上げながらドヤ顔で笑ってみせた。

ルールという言葉は、彼女の前では通用しないようだ。


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