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曇り気味で時折小雨が降る中、無事に飛行機は飛び立ち、一ヶ月ぶりのアメリカ帰国。
空港を出たローラの手には大きめのトランク。
そしてクーラーボックス。
今日も前回と同じように先にウィンディランに荷物を置かせてもらい、すぐにバレルさんの家に向かおうと考えていた。
「あ。ローラさん、こんにちは」
「リッキー君。こんにちは」
タクシーに乗り、ようやく辿り着いたお兄ちゃんの職場。
今回出迎えてくれたのは先日のビッキーさんではなくリッキー君だった。
明るくて賑やかなビッキーさんと飛んできたボビーさんの時とは違い、おっとりとした出迎えだったのでインパクトは先日よりも薄かったようだ。
今日はお兄ちゃんもいないみたい。
心配をあんまりかけたくないから、今はいない方が都合がいいかな。
「あがってください。お菓子を用意してますよ」
「うん、ありがとう。でも少し出かけたい所があるんです。荷物だけ置かせてもらってもいいですか?」
「ッ…」
話の流れは先日とほとんど同じ。
彼もこの言葉だけで、私が今からどこへ向かおうとしているのかわかったみたい。
「バレルの所ですか?」
「えぇ。クーラーボックスとか持ってるし…やっぱりすぐばれちゃいましたね」
でも相手の反応はこの間と少し違う。
お兄ちゃんは私がバレルさんの家に行く事を少し嫌がっていたみたいだけど…
「そうですか。いってらっしゃい」
リッキー君はにっこりと優しく微笑んでくれた。
まるで私が彼の元へ行く事を喜んでいるみたいに。
やっぱりリッキー君は、私の知らないバレルさんをたくさん知ってるから。
彼もまた私と同じようにバレルさんを助けてあげたいって思ってくれてるのかな。
とにかく色んな人から反対される後ろめたい気持ちの私にとって、彼の存在はとてもありがたいものだった。
「ありがとう。リッキー君」
「…?なんでですか?」
「なんでもない。はい、この玉ねぎあげるね」
「…え」
ボックスの中の袋から適当に取り出された一個の玉ねぎ。
それを渡され、拒否する間もなく受け取るリッキー。
「私、諦めないから!絶対この玉ねぎをバレルさんに食べてもらう!」
「最終目標はソコなんですか」
「じゃ、行ってきます!バイバイ!」
重い荷物を持っているにもかかわらず、駆け足でその場を去っていったローラに彼はぽかんとしていた。
「はは。良い人なのか変わってるだけなのか…」
リッキーはその玉ねぎを見つめ、そして「美味しそう」と呟きながら扉を閉めた。
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