……………


〜七色の音♪






「「キャァアアア!!!!」」


黄色い歓声がコンサートホールいっぱいに広がる。

久しぶりのweather lifeのライブ。

今回のホールはワシントンという事もあり、人の数が多く大いに盛り上がっている。


軽やかにドラムスティックを回し、自分の手足のように音を鳴らすクラウディ。

名誉あるベストドラマー賞受賞の話が来る程。

その実力はルックスを抜きにして考えても、一般のドラムアーティストとは比べ物にならない。


美空が歌の天才なら、クラウディはドラムの天才。


それはバンドの仲間からも認められ、美空と同等の音楽の才能があると評価されている。


「「きゃぁあッ!クララァッ!」」


若い女性達からの熱い応援に笑顔で応えるクラウディ。

これも仕事だ。


目の前に並ぶたくさんの女性ファン。

そんな人達が自分に向かって愛を叫んでくれる。

男にとってこれほどの至福はないのだろうが、クラウディにとっては違った。

彼女達は自分にとってお客様という存在でしかない。

それ以上の特別な感情は存在しない。



こんなにたくさんの女性がいるのに…




どうしてあの人はいないんだろう。





ここ最近はいつもそう思っていた。



…おかしいな。

自ら芸能人である事を隠していたのに、まるでコンサートを観に来て欲しいみたいな考え方。





ローラさんと会わなくなって、もう大分日にちが経つ。

たった数回しか会った事のない女性。

すぐにその想いが伝わらないとわかり、あっさり忘れられると思っていた。



それなのに2ヶ月経った今も、仕事中にこんな事を考えてしまう。

自分はまだローラさんの事を忘れられていない。

彼女はもうその意中の男性と結ばれ、幸せな生活を送っているのかもしれない。

連絡がないという事は大きな問題もなく、順調に事が進んでいる何よりの証拠だ。








『クラウディさん?クラウディさん!』







「………ッ?」







ふと瞳を上げると、マイクを握った日晴が自分に話しかけていた。

そうだ。

今はコンサートのMC中だ。



「…ッ♪」


思わず「テヘッ」と、おでこを小突くお転婆な仕草を見せるクラウディ。


「大丈夫っすか?珍しいっすね、クラウディさんがポーッとするなんて!」


クララ、大丈夫〜?と、ファンからの声も耳に入る。


いけないな。

ついうっかり考え込んでしまった。

今は大事なライブの最中だったというのに。


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