予想していた通り、ヒルカンパニーでの業務は長引き、残業の果てにビルを出たのは深夜の1時になってしまった。

空は既に真っ暗。

街の人通りもほとんどない。

見渡す限り店も全てシャッターが閉まってしまい、僕はエミリーに言われた「コンビニ」という建物を探した。


確か…この道を真っ直ぐ進んで、左に曲がるって言ってたな…





【ファミリー●ート】






あった。

恐らくここだ。

初めて来るコンビニという店。

部下の人に聞いた通り、緑と青の看板だし。

しかし、肝心の「コンビニ」という字が見当たらないな。

この店の第2の名前なのか…?

電気のついている店はここしかないし仕方がない。


「ファミリー……●ート…。…なるほど…」


得意の独り言を漏らしながら、何の躊躇もなく店の中へ入る。


〜♪

店に入ると不思議な音楽が鳴り、ジョンは食品コーナーに向かった。


卵…たま…あ、あった

…可愛い…卵超可愛い…超絶可愛い…ぶつぶつぶつ…。


あと、ウスターソース…



「…あれ?」


ソースがない。

塩、砂糖、オリーブオイル、

ケチャップ…マヨネーズ…


あれ?

やっぱりソースがない…。

「ウスターソース250円」と書いてあるのに…肝心のボトルがない。



「お父様」

「……え?お父さ…ッ…?あ、はい」


とりあえず中年のおじさん店員を呼んで、彼は確認してみる事にした。


「ウスターソースが…ないんですけど…」

「あぁ。申し訳ございません。今日、謎の女の子が来店した際、店のウスターソースを全て買い占めてしまいまして」

「…はぁ」

「ソースをお求めですか?」

「…はい」

「では、ここから歩いて5分の場所に別のファミリー●ートがございます。そちらでお求めになられてはいかがでしょうか?」


「…………………。


……え?」


眠たそうな目で10秒ほど黙るジョンだが。

もちろん怒っているわけではなく…


「歩いて5分の所に同じ店があるんですか?」

「は…?あ、はい。ございます」


再び黙るジョン。

何度も言うが、別に怒っているわけではない。



「…進歩してますね。…わかりました。この卵だけください」

「は、はい。レジにてお会計をお願いします」

「…わかりました」


ジョンは言われた通り、若い男性の立つレジまで歩いて、手に持っていた卵を置いた。


「ありがとうございます。卵1点のお買い上げで290円になります」

「…はい」

「1万円頂きます。9,710円のお返しで」


「……あの…」

「はい?」


「息子さん…お父様とあまり似てないですね」


「……………………は?」








僕はとりあえず卵だけでも購入する事に成功した。

あとは…ウスターソース…


街灯が並ぶ夜道を歩き、さっきの父親が言っていた同じ店を探した。











「…………。」











あった。


コンビニの前で再び立ち止まり、ボーっと看板を見上げるジョン。





…あれ?…あったけど…

さっきの店と色が違う。

さっきは確か…緑と青…

これは…青と白…


…いや。それ以前に店員の着ている服が、あんなにシマシマした柄だっただろうか…?



いや、それよりまず…




「………●ーソン…」




店の名前が違う。



「…………。」






*****




エミリー「うわぁっ!もしもし?サラさん!?ジョンさんが昨日から会社に行ったっきり帰ってこないのーっ!どうしよう!」


- 534 -

*PREV  NEXT#


ページ: