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「馬鹿じゃないの?」

「…悪いとは…思っている」


そして今現在に至る。

妹にこんなに叱られたのは、中学の頃、腐ったバナナの落ちていく音を霊の足音と勘違いして夜中に何度も起こしに行った時以来だ。



「ははっ。コンビニを知らないなんて、さすがは筋金入りのお坊ちゃんですね。はい、コーヒーをどうぞ」

「…あ。ありがとうございます。……熱っ」


昨日は徹夜がかりで卵とソースを買ってきたにもかかわらず、嫁から「頭を冷やしなさい」と家を追い出された。

こうして行く宛もなく電車を乗り継ぎ、またサラのいるバイク事務所の寮を訪れてしまった。

ここで出されるコーヒーは、いつ飲んでも熱いな…


「コンビニでウスターソース一本買うのに丸1日かかるなんて、自分の兄として情けないわ。●ーソンですぐ買えなかったの?」

「ポイントカード…持ってなかったから」

リッキー「別に持ってなくても買えますよ」


「じゃ、そのすぐ近くにamp●あるでしょ?」

「午前と午後…どっちに行けばいいのかわからなくて」

ビッキー「そんな毎日半休取ってるような不便な店じゃないから」


「その隣にもミニス●ップがあるでしょ?」

「ちゃんと、ちょっと止まった」

ナイジェル「なにが『ちゃんと』?誰も止まらねーよ」


「もうちょっと行った先にセ●ンイレブンがあるじゃない」

「イレブンクローズだから、セブンオープンまで待ってたよ…長かった…」

ボビー「君は馬鹿じゃないのかい?」

















熱々のコーヒーから立つ白い湯気。

いつもの平穏なメインルーム。

サラはため息をつきながら、ソファーの背もたれに寄りかかり天井を見上げた。


「はぁ、呆れた。世界の国際情勢と経済事情を嫌という程把握している人間が、まさかコンビニでの買い物の仕方も知らないなんて」


妹は頭を抱えながら、再び大きなため息をつく。

「人聞き悪いな…。肝心の卵はちゃんと買えた」

「卵だけ買えても意味ないでしょ」


どこぞのオッサンみたく額をボリボリ掻いていた彼女は、一旦姿勢よく座り直し
そして横で見ている仲間達の顔をチラッと見た。

その彼らは黙って妹の顔を見続けている。



「…わかったわよ。今日はどうせオフだし、お兄ちゃんもエミリーさんに家を追い出されて暇なんでしょ」

「追い出されていない。散歩の途中で寄っただけだ」

「凄いわねー。アメリカ横断して散歩してんのー?はい、変な意地を張ってないで行くわよ」

「………ッ…意地なんて張ってない。…本当だ。

ちょっ…痛いっ…そんな強く掴むな……。痛いっ…本当に…折…」




ガチャン!



ジム「…おい。肝心の卵、落ちて割れたぞ」


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