〜ファミリーレストラン編〜


サラが立ち止まったのは、一軒のとある食事処の前。

オレンジの屋根が人々の視線を集める。


「ジョイン…ト…。サラ、ここはなんだ?」

「ここはファミリーレストラン。その名の通り、家族連れでも楽しめるレストランって事よ」


「…………。」


「何よ?」

「そうか。わかった、次に行こう…」

「え?入らないの?」

「だってお腹…空いてな……イタタタッ!またっ…腕、千切れっ…!」



男のクセにだらしないわね!と、無理やりまた腕を引かれる。

歯医者を嫌がる子どものようにジョンは妹に引きずられ、店内のドアを嫌々くぐった。

















〜♪


「いらっしゃいませ!」

扉が開くとセンサーが反応したのか、コンビニの来店時と同じ音楽が流れ、女性の店員が奥からやってきた。


「あ、ビッキーちゃんのお友達の…!いらっしゃいませ、彼氏ですか?」

「ふふ、兄よ」

「お兄さんなんですか!?格好良いですね!」

「外見だけよ。中身はスッカラカンだから」

スッカラカン「………そういう言…」

「禁煙席、空いてる?」

「空いてますよ!こちらへどうぞ!」

スッカラカン「…………。」



ビッキーの友人であるルーイに案内され、兄妹は窓側の席に向かい合わせで腰かけた。

午後3時と中途半端な時間という事もあり、周りも客は少ない様子。


「よかったわね。すんなり座れて」

「…こんな時間に腹減る奴なんて…そういないだろ…」

「何食べる?」

「…水」

「水を食べるの?変わってるわね。デザートでもいいから何か頼みなさ…」




ガチャンッ!


「…ッ!」

「……?」


テーブルの上に雑に置かれた、水の注がれたコップ。

ウェイターのエプロンからスッと視線を上げると…



「………。」

「あら、バレル。久しぶりね」


このファミレスでバイトとして働いている強面系蛇男子・バレルが店員とは思えない恐ろしい顔で立っていた。

いや、普段にも増して不機嫌そうな顔をしている。

店長にまた怒られでもしたのだろうか。


「…しっ…知り合いか…?」

「友達よ」

「貴様を友達だと思った事は一度もない」


彼の顔と声にビビってしまっているのか、ジョンの顔色はすっかり真っ青になっている。


「貴方、怪我をしてバイトを休んでたのにいつの間にか復活してたのね。またどっかのゴロツキとケンカでもしたんでしょ」

ジョン「…ゴロ…ツキ……」


「くだらねー戯言はいいからさっさと注文しろ。さもないと殺す」

ジョン「そ…そんな事で一般市民は死なないといけないのか!?治安は最悪とみた」

サラ「そんなわけないでしょ」


適当に彼女がホットケーキとゴボウの天ぷらを注文し、去って行く強面のイカついウェイター。

なんて事だ…妹にあんな犯罪係数300を超えるような友人がいたとは…


「お兄ちゃん、大丈夫?普段にも増して顔が青白いけど…」



もし…万が一…妹が実家にあの男を連れて来たら…




*****


サラ『お兄ちゃん!紹介するね、私の彼ぴっぴ!』

バレル『ジョンさん。俺の義兄さんになったからには…ウチの組に入ってもらわねーとな…』


*****






「………………………………………………………………………………………………………………………。」





「お…お兄ちゃん?本当に大丈夫?充電切れた?私、単3電池持ち合わせてないわよ」


「ぼ…」


「……え?」


「…ボビーさんの方が…まだいい」





「…何が?」


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