……………


「なんだよ。目玉焼きに何をかけるかって、くだらない話題でケンカしてたのか」


ビッキーとサラから事情を聞き、安心した様子でキッチンの椅子に腰掛ける男3人。


「くだらないとは何よ!私達にとっては重要問題なの!」

「仕方ないでしょ。ウスターソース切れてたんだから」

「切れてたくらいで私に諦めろって言うの!?」

リッキー「まぁまぁ落ち着いてください。とりあえずふたりとも眼球が無事で安心しました」

サラ「…………眼球?」



朝からこんなしょうもない事でケンカ出来るとは俺達も平和という証拠だ。

とりあえずジムは「よっこいしょ」とジジ臭いかけ声で立ち上がり冷蔵庫を開けてみた。

問題のウスターソースは…あぁ、あったあった。



「確かに入ってないな」

「でしょ!?昨日までまだ残ってたのに、今日の朝に確認したらなくなってたの!誰?勝手に使ったの!」


逆さまにしても1〜2滴程しか落ちてこないソースを見て激おこ状態になっているビッキーは、咄嗟にジムの肩を掴んだ。


「お、俺じゃないぞ…」

リッキー「俺も使ってません」

ボビー「ビッキーちゃんにぶたれるのも本望だなっ…////僕が…」

サラ「どーせナイジェルでしょ。昨日夜食でコロッケ食べてたし。何?あのオッサンまだ夢の中なの?」


「あの親父ぃいッ!起きてきたら目玉くり抜いて油で揚げてやる!」

「いいから落ち着けって!とりあえずないものは仕方ない!」


興奮しているビッキーを沈めたのは、お得意のジムさん。

確かに彼の言う通り。

ここで怒っても駄々こねても手を合わせて神様に祈ったって、冷蔵庫の中に再び新しいウスターソースが生まれてくるわけがない。

ここはやはり…



「誰かが外に買いに行くしかないでしょ?」


口を開けたサラが周りの顔を見てみた。

…何故か全員が目を逸らす。

それも仕方ない。

今は真冬の2月。

外は凍える寒さだし、昨日のレースの疲れからか暖かい室内でゆっくり休みたい。

それぞれが行きたくない空気全開だ。




サラ「誰が行くの?」

ボビー「ソース一本だろう…?」

リッキー「俺、金欠だから買えるお金持ってなくて」

ビッキー「近所のコンビニ、ソース1本250円だよ」

サラ「貴方が欲しいんでしょ?自分で買いに行きなさい」

ビッキー「えー?やだぁ、寒いし!あそうだ!ミケラ…」

ジム「あっ…頭イテェ…。病気かな…」

「認知症」

ジム「誰だ?今言ったの(怒)」


それぞれが大人気ない言い訳を並べ、この場を逃れようとする。

大きな買い物ならまだしも「ウスターソース1本」だ。

ここまで目的が小さいと、自然とやる気も起きなくなる。


「あー、もう埒が明かない。仕方ないがここは指差しで決めるか!」


自然とまとめ役にまわったジムが人差し指を立ててそれを天井に向けた。


「とりあえず『コイツに行かせたい』と思う奴をいっせーので指差すぞ!」



リーダーのかけ声に合わせ、全員が同じように指を上に構え…





「いっせーのっ!」









リッキー「……え?」


全員の指が満場一致で…あのビッキーでさえ彼を指差した。

ぽかんとしている後輩の顔を見て、サラがニヤッと笑う。


「決まりね」

ナイジェル「だな」



リッキー「ちょっ!なんで!?イジメですよこれ!というか、なんでナイジェルまで指を…え?いつからいたんですか!?」

「……いや。よくわかんねーけど小便したくて起きたら皆お前を指差してたから」

「訳もわからずに賛同しないでください!」


ボビー「ゴチャゴチャ騒ぐな、小童!大体こういうのは一番年下が行くものと昔から決まっているだろう!」

「そんなの差別っすよ!」


嫌がるリッキーに問題の原因を作り出した張本人のビッキーが、ショッキングピンクの派手な財布から小銭を出して渡した。


「頑張ってリッキー!私の為に!」

「そんな…ビッキーまで…」

「おつりでお菓子買っていいから!」

「マジで!?じゃぁ行く!」

ジム「お前、何歳!?」


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