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……………
「サラに会えなくなるだって?ふざけんじゃねーよ」
「まぁ落ち着いてください。貴方が何をしでかすかわからないから、俺がこうやってトイレまで付いて来たわけじゃないですか」
用を済ませたナイジェルとリッキーは、隣同士で手を洗いながら先程の話の続きをしていた。
「お前はなんとも思わねぇのか?」
「思うのは皆同じです」
「俺を皆と同じにすんな」
荒く舌打ちをするあたり、本性が出てくるナイジェル。
リッキーも複雑そうな表情でポケットからハンカチを取り出して手を拭いた。
「なぁ。この見合いめちゃくちゃにしてやろーぜ、リッキー」
「それはダメで………ん?」
ハンカチを持ち合わせていないナイジェルにそれを貸してあげてトイレから出たふたり。
その瞬間、リッキーが何かの気配に気づき、前を歩く腕を掴んで立ち止まった。
「どーした?」
「誰かいる」
「は?」
よく見ると、向こう側の柱で隠れながら誰かが電話をしている。
「ここの召使いかなんかだろ、気にすんな」
「ちょっと待ってください。この声…」
耳を澄ますと聞こえる
聞き覚えのある…これは男性の声。
「…えぇ。順調ですよ、安心してください」
気品ある話し方は変わらない。しかしどこかに陰りを帯びたような。
その声の主は、サラの見合い相手のロビン・ジャックマン。
何故見合い中の彼が、こんな所でひとり隠れてコソコソと電話をしているのだろう?
ふたりはトイレの入口に戻り、そのロビンの会話を盗み聞きする。
「あぁ、わかってるよ。彼女は時がきたら始末する。
…大丈夫だって。合併した会社は必ず私達の物になるから」
「ッ…」
今の台詞。はっきりと聞いてしまった。
耳から伝わった事実に体中に電気が走ったような感覚が。
「合併した会社」とは恐らく、ジャックマン一族とヒル一族の合併した新しい会社の事。
そして彼の言う「彼女」とは恐らく…
「あのヤロッ…!」
「待って!」
感情的になり一気に飛び出そうとしたナイジェルの腕をリッキーは慌てて強く引き戻した。
「何すんだよ!このままじゃサラが」
「手ぶらのまま向かうのは危険です!彼もすぐに彼女をどうこうするつもりではないみたいですし、ここは一旦家の人にこの事を伝えましょう!」
リッキーはロビンに聞こえないように冷静に説明する。
「…クソッ!」
そのまま何事もなかったかのように通話を切り、ポケットに手を入れたまま庭へ戻り出すロビン。
確かに彼の言う通り、ここで奴を捕まえようとしてもどう反撃をされるかわからない。
ふたりはこの事実を伝える為、急いで元いた客室間に走り出した。
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