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「リッキー!ねぇ、見て見て見てー!
携帯で恋占いのアプリを取ったんだけど、リッキーと私の相性46%だって!ね!結婚しよう!」
「え…。46%って…ちょっと微妙じゃないですか」
「ほぼ半分の確率で私達はお似合いって事なのよ!凄いでしょ!さ、結婚しましょう!」
「そのパーセンテージで結婚まで持ち込めると思えるビッキーの考えの方が凄いですよ」
昼下がりの午後。
向かい側のソファーに座って芸能雑誌を読んでいたリッキーに、俺の(多分)恋人が携帯を顔面に押し付けてアプローチをしている。
ったく…いつもの事だとはわかってるけどさ。
テーブルを挟んだ前のソファーに座っていたジムは、ムスッとした表情で自分の携帯を開く。
ポチッ
ポチッ
ポチッ
『!無料アプリ!
気になるあの子との相性はどのくらい?男女相性恋占い☆
6月30日生まれ、AB型の女性
9月22日生まれ、O型の男性
相性は…
91%!』
「…オッ////」
「よかったじゃない。貴方達、もう確実に結婚ね」
「ウワッ!///」
こっそり調べていたはずが、後ろから何者かに見られていたらしい。
耳元で囁かれて、ジムは思わず心臓が飛び跳ねそうになった。
「サ…サラッ!なに見てんだ!///」
「焼き餅焼いて自分でも検索なんて、結構可愛い所あるじゃない(笑)」
艶やかな金髪を撫でながら、見下ろして笑っているサラだ。
「うるさい!勝手に見るな!////」
「私も調べてよ。私とジョニー・デップの結婚の確率は何%なの?」
「なんでジョニー・デップなんだ!?0%に決まってるだろ!」
「調べるだけ無料でしょ(笑)」
「それはそうだけ……あ…」
すると今度はリッキーが、さっきの俺と同じ顔でこちら側を見ていた。
あぁ…気持ちは…俺もさっきまで似たような気分だったからわかるけど。
恋愛ってホント難しいな。
ピロロロロ!
「ん?」
サラがジムから携帯を奪おうとした瞬間、突然それがブルブル震え鳴りだした。
「あ、でんっ…」
ゾワッ
何気なく液晶を見た途端、サラとジムの表情がいきなり漫画のように真っ青になっていく。
その瞳に映し出された文字。
それは
『美空 七音』
「ゲッ!」
「っ…」
ジムが声を漏らした瞬間、悪い未来が頭によぎったのか、サラは思わずビッキーの方へ体を寄せた。
「どしたの?」
「爆弾から電話」
「爆弾?あ…」
毎度のごとく厄介事を持ち込んでは、それを丸投げする前提で電話をかけてくる人間。
今までの経験上、そんな人物はひとりしか出会った事がない。
全員の脳裏に全く同じ、生意気なあのライトグリーンが浮かんできていた。
「七音君?」
サラがコクッと頷いたのとほぼ同時。
ジムは恐る恐る通話ボタンを押して携帯電話を耳にあてた。
「…も…もしもし…」
『僕だよ。あのさ聞いて聞いて聞いて』
予想通り。
挨拶もロクになく、いきなり用件だけをひとりで喋りだした電話相手の男。
「あぁ…。うん…えぇと…」
向こう側の話を聞きながら、何度か相槌を打つジム。
話なんて聞かなくてもわかる。
アイツがかけてくる電話の内容。
それは必ず100%負の話題。
これはどんな無料アプリの占いなんかより、よっぽど当たる確率だ。
「切りなさい!」
面倒事に巻き込まれたくないサラが、ソファーの向こう側から小声で野次を飛ばしてくる。
「…あぁ…うん…。あぁ。……はぁ…」
「行かないって言いなさい!」
「ジムッ…」
不安気に声を漏らすリッキーの隣で「切れ」を連発しているサラ。
「あぁ。…はい…あぁ」
「行かないって返事するだけで…」
ジム「そんなもん、行くに決まってんだろうがッ!!!」
サラ「ハァッ!?」
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