……………

一方、こちらは女性陣が集まる撫子の間。


「さて、うるさい男達もいなくなった事だし。女だけでゆっくりしましょ」

「賛成さんせ〜い!何する!?やっぱ恋バナ!?恋バナ!?」

「うるさいのがまだ一匹残ってたわね…」


部屋は桜の間の半分より狭い小さな部屋だが、女性3人がかたまって眠るには丁度良いスペースだ。

馬鹿騒ぎの物音もなく隣の部屋に比べたら大分静かで心地よく落ち着く。

しかし、やはりどこにでも「旅行気分」でハイテンションになる子は最低ひとりはグループにいるもの。

キャピキャピと飛び跳ねるビッキーを見てサラはため息をつき、次にweather lifeの紅一点、エマの顔を見た。

普段のように髪を結っておらず、クリクリとしたハイライトのない独特な瞳で自分の顔を見上げている姿。


「リスみたい」

「リス!?確かに!エマちゃん小動物っぽいよね!じゃぁ私は!?ハムスター!?ひよこ!?」

「アンタは女狐でしょ」

「女狐!?なにそれ!?」


ビッキー“ザ・ビクセン”スティール
ビクセン=女狐

これは公式情報(笑)



ケンカしつつも仲良さそうに話すふたり。

エマには何を言っているかわからないので、そのまま口を三角にして眺めていると…

目が合ったサラがおもむろに携帯を取り出し、そして文字を打ち込んだ。


『エマちゃん、旅行楽しい?』

「っ…」


その質問を見た瞬間、彼女の顔がパァッと明るくなって目一杯頷く。


「…楽しいっ……です…。すごく…!」

自分なりに大きく首を振ったようだが、やはり周りから見ると小動物みたいで愛らしい。


「ふふ。良かった」

ホッとして優しく微笑むサラの顔も、また普段のクールな印象とは違う。

男の人がいる時にはあんまり見せない顔。


「エマちゃん楽しいんだ!嬉しい〜!また抱きついちゃうぞ!」

興奮しているビッキーが再びエマに襲いかかろうとすると…




ガシャン!

ガシャンガシャン!!



「…っ?」


なにやら隣の部屋が騒がしい。

既の所でビッキーの動きが止まり、耳が聞こえないエマでさえその振動に違和感を覚えた。


「随分騒がしいわね…」

「わぁ!楽しそう、サラ行こうよ!」

「行かなくていいわよ。面倒事に巻き込まれたく…って、ちょっと?聞いてる?」




『エマちゃん、隣の部屋行こっ★』


当然の事ながら先輩の返事を聞かずに、ビッキーはエマに自分の携帯画面を見せる。


「えっ…でも…」

「いーのいーのっ!さっ!立って!」

「なっ…」

「ビッキー、やめなさ…」

「オッシャァァア!愛しのリッキーがいる部屋に突撃〜!」

「聞きなさい、馬鹿!」


右手の拳を振り上げ、左手でエマの手を無理やり引っ張って。

ビッキーは何の考えもなく部屋を飛び出し、仕方なくサラもその後を追った。


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