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「みんなぁぁ!!!!旦那様と警備員を連れてきたわよ―――ッ!!!!」



サラは力の抜けたように座り込み、仲間達がかける言葉もなく暗い空気が漂う中。

家政婦の声が庭中に響き渡った。

彼女の後ろには10人程の警備員と、サラの父親がいる。


「サラッ!大丈夫か!?」

鈍くなってしまった足を全力で走らせ、娘の体を力いっぱい抱き締めた父親。


「ねぇ…お父さん…嘘よね?こんな事…」

「まだわからん。でもそのような話を聞いた人間がいる以上、黒の可能性が高い」

「そう…」


彼女は父親の腕の中で倒れるようにうずくまる。

サラの父親は彼女の体を離した後、ジム達に顔を向けた。


「すみません。勝手に敷地内に入ってしまって」

「いやいい。君達がいなければ向こうの思惑にも気づけなかった。家政婦からも君達の話は聞いている」

「…ありがとうございます」

「とりあえず細かい話は後だ。今は問題解決が先だ」


力強く全員がコクリと頷く。

そこでやる気満々のビッキーが前に出た。


「よっしゃ!あとはあの金髪男を捕まえるだけ!行くわよ、警備員の皆さん!」

「了解しました!」

「おい、ビッキー!危ないだろ!帰ってこい!」


なりふり構わず走り出した彼女。

その後ろに警備員が続く。


「あれ?いない…」

坂を下ってロビンのいた場所に着いた彼らだが、そこには誰も座っていないベンチがひとつ。

周りを見ても人の気配はなかった。


「だから!お前はチョロチョロひとりで走り回るなっていつも言ってるだろ!?」


ビッキーと警備員の後を追って走ってきたジム。

彼も周りを見回し、ロビンがいなくなっている事を確認した。


「感づかれたか?」

ナイジェルを先頭に全員がそこへ降りてくる。


「あぁ。だがまだ遠くには行っていないはずだ!すぐに探せば見つかる!」

「よし!出入り口を全て閉鎖せよ!警備員はただちに配置につけ!」

「ハッ!」


父親の一声で、警備員は同時に散らばった。

さすが…豪邸に住んでいるからこそ言える台詞だな。


「よし、俺達も探そう!」

「じゃ、とりあえず俺はサラを安全な所へ連れて行きます!」


リッキーは震える彼女の手を握り、不安定になっていた体を支える。

そんなふたりを見て、家政婦がここは自分の出番だと前に出た。


「あ!人を隠す場所なら、とっておきの場所があるわよ!」

「本当ですか?案内してもらえます!?」

「任せなさい!」

「よし、俺達は見合い相手を追うぞ!」


彼らは家族であり、そして仲間であるサラを救う為全力で走り出した。

まだ悪夢は終わってはいない。


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