……………


「…ん?」



夜の10時。

喉が渇いて何気なくナイジェルが下の階へ降りると、メインルームの明かりがついていた。


「あ?サラ、何やってんだ?」

「ん?あぁ、ちょっと色々考えてただけ」


部屋を覗くと、テレビもつけずにサラがソファーに座っていた。

こんな時間にひとりで珍しい。

まぁ、今日の昼にあんな事があったばっかだしな。


「なんだ?お前も何か悩み事があんのか?オジサンが聞いてやるぞ?」

「あったとしてもアンタには相談しない」

「んだよ、女子は秘密事が多いな…」


ん。

よく見ると、目の前のテーブルに置いてあるビールの缶が開けられていない。

これはマジで珍しい。

冷蔵庫から出したのに飲まなかったのか?


「さっきまでジムと話してたの」

「あぁ…あの悩み多きガラスのハートのオッサンね」

「そうよ。あの悩み多きガラスのハートのオッサン」


そこは否定しないサラ。

ナイジェルは彼女の向かい側に座って、汲んできた水を一気に飲み干した。


「『ありがとう』って言ってたわ。皆に伝えてくれって。自分から言うの恥ずかしいんじゃない?」

「そうか。相変わらずそーいうとこヘタレだな」

「そうね。でも話してよかったって。ビッキーの気持ちも改めて知る事が出来たし、心の底から安心したって言ってた」

「…………。」


静かに流れる夜の時間。

ようやくビールの缶を取ってフタを開けた。



「全く…手がかかるバカップルよね」

「本当そーだな」


彼の空になったコップに半分ビールを注いで、「乾杯」という言葉の後にそれを一口飲んだ。




「ぬるい…」

「文句があるなら返しなさい」


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