10
……………
「そう!でねでね!駅前に新しいスイーツカフェが出来てるの!ウサギも飼ってるんだよ!」
久しぶりにビッキーの部屋へ遊びに行くと、いつもみたいに笑って出迎えてくれた彼女。
今日、サラとあんな話をしていたなんて思えないくらいいつもと同じ。
俺が聞いてた事も何も知らないんだな。と思いながら、アイドルだらけの怪しい部屋でビッキーのマシンガントークを聞いていた。
「今度一緒に行きたいな!そこのパフェ凄く大きいんだよ!今は季節限定のマンゴーが盛り付けられてて…」
「そっか。なら今度行かないとな。ふたりで」
本当、疑ってた自分が小さく思えた。
彼女は俺が思っている以上に、俺を大切な存在だと感じてくれている。
今ならもう何があっても信じられる。
こうやって恋人同士になると、どうしても不安になってしまう時が何度かあった。
俺より若くて外見の良い男に乗り換えてしまうんじゃないかとか…そんな事。
いつか飽きられてしまうんじゃないかと、考えてしまう事もあった。
でも今は違う。
「どうしたの?」
「うん?なんでもない」
夢中で話していると、突然隣の彼が抱き締めてきた。
なんだか…いつもと雰囲気が違う。
逃げかけていたウサギをようやく捕まえたみたいな。
そんな感じ。
「ジム?」
俺もお前と一緒。
ビッキー以外ありえないって思ってる。
こんなうるさくて生意気な小娘に、自分がこんなに夢中になるなんて最初は夢にも思わなかったけど。
ずっとずっと一緒にいたい。
お前が言っていたように、歳を取ってもお互いの顔がしわくちゃになっても。
ずっと。
ゆっくり唇を近づけようとすると…
「ムゴッ!!」
手でいきなり口を塞がれた。
「ちゃんとうがいした?今日、ボビーと変な儀式してたでしょ!?」
ム…ムードが…。
どんだけ嫌われてんだ、アイツ…
「し、しました…。歯も磨いて洗口液も使いました…」
「はは!よろしい!」
ニコッと笑って、彼女が俺の唇に軽くキスをした。
「ふふん♪今のでパフェ奢り決定!」
「は、はぁ?」
「ウソ!あっはは!」
ったく…
どこまでいっても「小悪魔」な彼女。
俺がいくら言っても、どうせこの性格は一生治らないだろうな。
「パフェくらいなら奢ってやる…」
「本当!?やったー、一緒に食べようね!」
でも、結局最後はその笑顔に負けて許してしまう。
まぁ、この振り回しに耐えられるのも俺しかいないか。
ジムはそう考えながら、再び大きなため息をついて彼女を抱き締めた。
fin
- 579 -
*PREV NEXT#
ページ: