ガサッ!


黒いゴミ箱へ無造作に投げ捨てられたゴミ。

今日の夕方に買った焼き肉のコンビニ弁当だ。

自宅へ帰り、それをものの5分程で完食してしまったバレルは、空になってゴミ箱に放り込まれた弁当箱を黙って見ていた。


「…………。」


グゥと、腹が鳴る。

こんな小さな弁当ひとつでは、腹の足しにもならないのだ。

今月は金欠だから仕方ないとは言え、ましてや一般人の5倍近くの食欲を持つ彼であれば尚更。

食べ終わって数分。すぐに冷蔵庫へ向かうが、その中も弁当の中身同様ほぼ空。

入っているのは塩とケチャップとマヨネーズくらい。

先日ローラが作ってくれた料理も保存食としてタッパーに入っていたが、それもすぐに食べ終わってしまったらしい。


「チッ」


小さく舌打ちをして、彼は冷蔵庫の扉を閉めた。


ベッドに寝転がると、やる事がなくてますます腹が減る。

この部屋にはテレビもないから、音も耳に入らず気も紛れない。

とりあえず眠る事にしたのか、電気の紐を引っ張って明かりを消した。















ガンガン!



「………。」


突然、扉を荒く叩く音が聞こえてうっすら細い目を開く。

時間は夜の11時だ。

こんな時間に来る輩など非常識な人間に違いない。

無視を決め込んでバレルは再び目を閉じるが…





ガンガンガンガン!!!

ピンポンピンポン!!






…うるさい。

ウザいくらいにうるさい。





ガンガンガンガンガンガンガンガン!!!



「…うぜぇ」


やかましさのあまり、ようやくベッドから立ち上がって明かりをつける。

訪問者を一発ぶん殴ってやろうとでも考えたのか、ただでさえ腹が減っているのが余計にイラついたのか。

いつもの倍以上不機嫌な顔で彼は玄関へ向かった。



ガンガン!

ピンポーン!!!



「………。」


ガチャン!と扉を開けると…











「ふにゃーん…」









誰もいない?


声は聞こえても人間の姿は目に入らず、下に目を向けるとその人物はすぐに見つかった。


何故かそこには、ベロベロに酔っ払った状態のローラが倒れていたのだ。



「たぁ…だいまぁ////」


倒れていたと言っても怪我をして倒れているわけではなく、意識が朦朧として立てなくなり柵に寄りかかって座り込んでいる状態。

…酒臭い。

何があったかは知らないが、完全にアルコールを飲んで泥酔している。




「ヒャァ〜…グルグルして立てないぃ〜…おんぶ!」



ガチャン!!



問答無用で扉を閉めるバレル。

すると…


「ヤダァ///!開けて開けて開けてぇ!」


まるでメス猫が発情期に鳴くような声で叫び始め、再びガンガンと扉を叩き始める。




「…………。」


無視してベッドに戻ったバレルだったが…


「ちょっ!バレルさん!?部屋の前で女の人が泣いてるわよ!アンタが連れ込んだんでしょ!なんとかしなさい!」

「うぁぁ〜…うぁぁ〜うぁぁ〜」


終いには泣き声と管理人の怒鳴り声まで混ざり、聞いた事もない大合唱に。

夜の11時。

クソ面倒臭い事になった。


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