「ん〜!ん〜!」


横から酔っ払いの喚く声が聞こえている。

とはいっても本気で外に放り出すわけにもいかず(また外で騒がれても困るから)、どうするかと考えていたその時だった。

声の中にゴソゴソと聞き慣れない音が混ざり、ふとバレルの視線を誘う。

彼女は寝ぼけ顔の状態で、何故か自身の背中側の服の中に手を入れている。


「何してんだ…」

「ブラが苦しい…ねぇ、ちょっと外して///」

「……ッ…」


珍しくバレルの眉がピクッと動き、自然と視線を彼女から別方向の壁に逸らした。


「胃が痛いぃ…ングッ…お母さん、早く外してぇ」

「自分でやれ」


助けを求められたが、彼はトイレへ行く為に部屋を出てしまった。

酔っ払って意識が朦朧としているとはいえ、そんな事は頼まれても出来ない。

さすがのバレルもその場に居辛くなったのだろう。


10分程経った所でようやくトイレから出てきた彼は手を洗う。

もうそろそろ眠くなって寝ているんじゃないかとドアの隙間から見てみるが…



「…んぅ…///…外れないぃ…苦しいぃ…」




…まだやっている。

何の為に自分が眠る時間を削って、用もないトイレにこもっていたと思ってんだ。


未だ背中側の服に手を入れている彼女がいて、リビングに入るに入れない。

むしろ立ち上がる事も出来ない状態で、あんな小さなホックを外す事はほぼ不可能だ。

このままじゃ、何時間経っても終わらない。


「…………。」


「…ん…///…あれぇ…ッ…」








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