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……………
ようやく落ち着いたふたりが次に向かったのは、この園内で一番大きな目玉アトラクション。
「観覧車か。ここなら誰にも邪魔をされずにいられそうだ」
エマに聞こえていないとわかって、小さく独り言を呟く雨宮。
ゆっくりと動くこの大きな観覧車は、この遊園地の代表格的存在。
夜になれば青や紫にライトアップされて非常にロマンチックな雰囲気になり、特にカップルに人気のアトラクション。
しかし今は夕方前という事もあり、ライトは照らされておらずカップルもさほど多くはない。
本当は夜に来たかったが、恋人同士でもないし変に気を遣ってしまいそうだから今はこれで十分だ。
「気をつけて」
「ッ…」
20分程並んでようやく自分達の番が回ってきた。
ゆっくり動くゴンドラに乗り、向かい合わせに座る。
ここまでくれば奴らの監視もないだろう。
視界に入る建物や人間は徐々に小さくなり、空や雲は反対に大きくなる。
頂上へ近づいている証拠だ。
「わぁ……雨宮くんっ…見て。高く…なってきてるっ」
高い場所が好きなのか、エマはワクワクして窓の外を覗いている。
こうやって狭い空間にふたりきりで閉じ込められると変に緊張してしまうが、彼女の笑った顔を見ると何故か内心ホッとした自分がいた。
「…楽しいね…雨宮君」
「………ッ…」
こちらを見て笑いかけると、彼の目がピクリと動く。
「雨宮…君…だけだよ…。仕事…疲れてる…んじゃないかって……心配…してくれて。…あり…がとう」
「…エマ」
仕事で疲れていそうだから?
確かにそれも君をここへ誘った理由のひとつかもしれないが…
それは表面上だけのありきたりな言い訳。
本当の大きな理由は、君とふたりだけで過ごしたかったから。
騙してしまって申し訳ないが、これが僕の本心。
失望させてしまうかもしれないし、イメージと違うと言われてしまいそうだが、
僕は君が思っている程、立派な人間じゃないんだ。
君を前にする度に、こんなにも様々な事を考えてしまって理性を保つだけで精一杯になる。
仕事の範囲を制限したのも、他の男を近づけたくないだけの自分勝手な我が儘。
君が七音を良く思っている事にさえ、僕は気に入らないと思う瞬間がある。
これが本当の僕の姿なんだ。
全然、優しい人なんかじゃない。
君のその笑った顔を独り占めにしたい。
たったそれだけの為に、あんな嘘までついて。
『仲間の体調を管理するのも僕の仕事だ』
「はは。…あ…まみや君…らしいね」
「はぁ…。七音ならこんな時、自然と隣に座って手を握ったり出来るのだろうな…」
何をしたくてもプライドがいつも邪魔をしてしまう。
聞こえていないとわかって、雨宮は悲しく独り言を漏らしながら携帯を仕舞った。
「雨宮君は…高い所、好き?」
僕がどんな事を考えているかなんて何も知らないエマは、子どもみたいに無邪気な質問をしてくる。
そうだ。
この子は純粋に僕が優しい人間だと思って、話しかけてくれる。
今はその期待に応えなければ…
「あぁ…。えっと
……………。」
「…雨宮君?」
嘘だろ…
また、体が動かない…

ハァァッ!!?
どれも言えるか、馬鹿か!!
3つ目に至っては長すぎるだろ、一体何の話をしてるんだ!
というか、まだ監視してるのか!?
どこから見てるんだ、アイツら!
ガチャン!!
雨宮が力づくでドアを開けたと同時に、冷たい風がゴンドラ内に吹き荒れた。
「あ…雨宮…くッ…!?煤v
『ちょっとサザエさん録画してくるの忘れた。一旦家に帰る』
「え、今…ですか!?ここ…最上部ッ…なのに…!」
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