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……………
「いないなぁ」
ジムは家の中を行ったり来たりうろうろしながら、見合い相手の男を探している。
「ったく、なんなんだこの迷路みたいな作りの家は。無駄に広すぎてこれじゃ人ひとり見つけるのもかなり大変だ。豪邸すぎるのも考えものだな」
独り言を漏らしながら小走りをしていると、向こう側の廊下からナイジェルとビッキーが走ってくる姿が見えた。
「あ!ジョニー!」
「ジムだ。どうだ?あの野郎は見つかったか?」
「残念だが人間自体初めて見つけたな」
だよなー。と、彼は頭を抱える。
「あとは、サラのお父さんとお兄さんと…ボビーか」
そこへ今度は逆側の廊下から、サラの父親が息を切らして走ってきた。
「はぁ…はぁ…」
「っだ、大丈夫ですか?そんなに息切れしちゃって…」
「あぁ…はぁーダメだね。もうこの歳になったら若い頃のように走れない」
彼はあまり体力がなさそうだ。
歳も歳だし、仕方がない。
そんな父親の背中をさすりながらジムは訊いた。
「あの男はいましたか?」
「いや…とりあえず一通り探してみたが、全く見つからないな。どこに隠れているのか」
「もしかしたら、もう逃げてんじゃないの?」
後ろからのビッキーの呑気な声。
「そんな事わからないだろ?」
「だって私達が動き出したら居なくなったなんておかしいじゃん。計画が感づかれた事に気づいたから、お家が閉鎖される前に逃げちゃったんじゃないの?」
「まぁ、それなら逃げていてもおかしくはないが」
ジムは下を向いた。
「でも、まだこの敷地内にいないとは言い切れない!今は安全が確認出来るまで全力で探そう!」
ここでサラの父親も、ようやく呼吸が整ってきたようだ。
そこへボビーも走ってくる。
「いたか!?ボビー!」
「あぁ、僕の千里眼をもってしても見つからないね。どこに隠れてるんだろう?」
「アンタ千里眼使えんの!?色んな意味でキショッ!」
こんな時でもボビーに対するビッキーの暴言は容赦ない。
「とりあえず、この辺に怪しい奴はいないみたいだな。よし。次は南側を探すぞ」
「皆!」
合わせるように再び廊下から走ってきたのは、リッキーとジョン。そして家政婦だ。
「見つかりましたか!?」
「いや、まだだ」
「そうですか。とりあえず、サラは安全な場所へ避難させました!もう一度よく探してみま…」
「その前にひとつ気になってる事があるんだけど」
呑気な声。
再び口を挟んできたのは、首を傾げたビッキーだ。
「なんだよ!?こんな時に…」
「ロビンって人の母親は?」
「えっ?」
思わず声を漏らしたジム。
「今日の見合いで確か母親も来てたよね?あの見合い相手が会社を乗っ取ろうと企ててたとなると、母親も共犯って事じゃないの?」
「…っ!」
その言葉に全員がハッとした。
「そうじゃん!確かにロビンは誰かと電話をしていたと言ってたな。もしかするとその相手は母親か父親なのかもしれない!よく気づいたな!」
「まぁね!」
「あ。でも見合い相手の母親、いつからいないんだ?」
「そういえばいつの間にかいなくなってたよね」
「それなら、僕知ってるよ?」
そこで目をキラキラと輝かせて答えたのはボビーだ。
「お!ボビー、たまには役に立つ時もあるじゃないか!どこに行ったんだ?」
「確か室内で見合いをしている途中に、サラの父上様と出て行ったよ?」
その言葉に全員がサラの父親を見る。
あぁと声を漏らしながら、思い出したように彼は口を開いた。
「彼女ならあの後に帰ったよ」
「帰ったぁ!?」
揃った全員の声。
驚きのオウム返しに、声が廊下で二重に響く。
「あぁ。なんでも授業があるからとか」
「なんでそれを早く言わないんですか!とにかくその母親もまだ遠くには行っていないはずだ!すぐに警察に連絡してもらえますか!?」
「わ、わかった」
彼はジムに言われて、慌てて携帯電話を取り出した。
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