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……………


外で激しく降り続いていた雨は、時間を追う事に徐々に弱まり

今となってはベランダの屋根から雫が滴り落ちるくらいまでやんでしまっていた。


…もう、ローラさんがここに留まる理由もない。

彼女は目を覚ましたら自分の元を離れ、他の男の場所へと行ってしまうだろう。



「……………。」



薄暗い雲の覆った空を見つめ、

立ち尽くしたまま、震える瞼を閉じた。







ギギッ…








「ッ…」



わずかに扉が動く音。

ふと振り返ると、扉の隙間からさっきまで頭に思い浮かべていた女性がこちらを覗いていた。



「あ、ローラさん。おはよう」

「あっ…ご、ごめんなさい!覗くつもりはなかったの」


慌てて部屋の中へ入って弁解する彼女。

よく見ると、目の下に少しクマが出来ている気がする。

あまり眠れなかったのかな…


それにしても、もうそんな時間か。

時計の針を見ると6時を指していた。


「構いませんよ。随分早起きですね」

「えっ…あ…うん。昨日早く寝過ぎちゃったから」


その言葉はすぐに嘘だとわかったけど、あえて何も言わなかった。


昨日は少し正直に喋りすぎちゃったから、ローラさんも色々悩んでくれたのかな。

だって少しは自分に我が儘になっていいって言ってくれたのは、誰でもない貴方なんですからね。

これ以上イジワルしたら本当に泣いちゃいそうだから、これは言わないでおくけど。


「外見てください。雨はやんでますよ。もう安心ですね」

「う、うん」

「お腹空いたでしょう?今、朝ご飯の準備をしますから、顔でも洗ってきたらどうですか?」

「え、いいよ!私が支度するから!」

「滅多に来ないお客様にそのような面倒事をさせるわけには参りません。綺麗なタオルがカゴに入ってますから、遠慮なく行ってきてください」


わざとらしい言い方に頭を下げる動作。

クラウディは朝食の準備をする為にキッチンへ向かう。



「………。」


お布団敷いてないけど…寝てないのかはさすがに訊けない。

目線を下に向けると、昨日ふたりで並んで読んだノルウェーの絵本がテーブルに置きっぱなしになっている。

あの瞬間は…今までにないくらい「楽しい」って私自身思えたのに。

クラウディ君は複雑な思いを抱えて、私に付き合ってくれてたのかな。

彼の温かく包み込むような笑顔と、昨日初めて見せた歯を食いしばる切ない顔が何度も頭に蘇る。


キッチンからフライパンなど調理器具を取り出す音が聞こえる中、ローラも言われた通りに洗面台へ向かった。


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