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……………
「あー、楽しかったぁ!」
一通り雪遊びを楽しんだリッキーとボビーは、冷えた体を温める為にコーヒー牛乳を1杯ずつ飲んでいた。
4人もの大人が遊びまわると朝はまるで芸術作品みたく美しかった庭が、無残にも汚い足跡だらけになっている。
塀の横には誰が作ったのか、チュリッキャの雪だるまが出来上がっていた。
「こんなに寒いのに元気ね、貴方達」
「何言ってるんだいサラちゃん!10年ぶりなのだよ!今遊んでおかないと、これから先遊びたいと思ってもそれだけの時間待たなきゃいけないじゃないかい!」
「そうね。ナイジェルも連れて私達も遊べばよかった」
「俺が遊ぶわけねーだろ」
オッサンは面倒臭そうにリモコンを握り、難しい政治のニュースから他の番組はないかとチャンネルを切り替え始める。
「男はいつまでも少年って言うじゃないですか。ジムを見習ってください。はしゃぎすぎて氷の張った池に頭から落ちてましたよ」
「見習っちゃいけねーだろ。良い子は真似しないでね」
「で?その肝心の池に落ちた奴は?」
「ビッキーが部屋で着替えさせてます。自分じゃ震えてお着替えも出来ないみたいで」
「だらしねぇ…」
ヒーターの前で温まっているリッキーと会話を交わしながら、ナイジェルは適当な地元の放送番組でリモコンをテーブルに置いた。
部屋の中は暖房が効いていて、外より大分過ごしやすい。
一時すると、ビッキーと新しい服に着替えたジムがメインルームへ帰ってきた。
ジム「ふぅ…あったかいな。この部屋」
サラ「ふふっ。何そのセーター」
ビッキー「トナカイ柄が可愛いでしょ!私のセレクトよ!」
ボビー「ぬぅああああああ!!お前!ビッキーちゃんに手取り足取りお着替えさせてもらったのか!チクショォォオオ……羨ましいですね」
アラサーのオッサンには可愛すぎるトナカイ柄の赤いセーターを着て、ジムは再び現れた。
少し恥ずかしそうではあるが、恋人であるビッキーのコーディネートに彼も口出し出来なかったようで。
サラからコーヒー牛乳を受け取り、リッキーの隣に座った。
「まぁ…色がピンクじゃないだけマシだ」
「赤も充分可愛くて似合ってますよ」
「そうか?」
ようやくメインルームに6人全員が揃い、部屋の中で今日をのんびり過ごす事に決定。
「あー、もっと降らないかなぁ。雪はいっぱい積もった方が冬は楽しいのに!」
ビッキーの言葉にナイジェルは眉間にシワを寄せる。
「相変わらずガキは呑気だな」
「もーう!そっちも相変わらず活動意欲がないんだから!もっと人生明るく生きた方が楽しいよ!」
「俺は無駄な体力を使うのが嫌いなだけなんだよ」
リッキー「ナイジェルももう歳ですしね。無理しない方がいいですよ」
「それでフォローに回ってるつもりか、オマ…………あ。」
ふと、ナイジェルの言葉が止まる。
彼の視線の先には先程自分でチャンネルを設定したテレビ画面が。
どうしたのだろうと思い、他のメンバーも同じくテレビに目を向けると…
『さぁ、こちらが雪合戦大会の会場とされた北運動公園になります!』
あ。
見た事がある景色と思えば、ここはツーリングする際によく立ち寄る大きな広場だ。
この街の北部にある代表的な公園「北運動公園」
家族連れやカップル達がよく利用するとして有名で、休日にはたくさんの人で賑わう憩いの場なのだ。
『さて今回行われるイベントで…』
マイクを握ったリポーターが雪道を進みながらリポートを続けている。
この地域の情報を生放送で伝える地元の番組で、どうやら今この場所で何やら雪合戦大会なるものが開催されるらしい。
これだけ盛大に雪が降ったとなると、祭り好きな人間が集まってこのような大会を開きたがるわけだ。
『繰り返しお伝えします!
本日、10年ぶりに観測されたこの大雪!この盛大イベントを誰が見逃すのでしょうか!?
祭り好きの地区会長により、この運動公園でチーム対抗による雪合戦大会が開催される事が急遽決定しました!
優勝したチームにはなんと30万円』
「「30万円!?」」
打ち合わせもしていないのに、その台詞を聞いた瞬間にメンバー全員が声を揃えて立ち上がってしまった。
ジム「ウッソ、マジで!?そこの公園で始まる大会、賞金30万だってよ!会長羽振り良すぎだろ!」
ビッキー「凄い凄い!これに優勝すれば大金をチームで山分け出来るって事!?」
『開催のゴングが鳴らされるのは2時間後、お昼の12時!
今ならまだ参加締切に間に合います!
6人で1チームとなりますので、家族、友人、恋人…とにかく仲間をかき集め、今すぐこの北運動公園に集合しましょう!』
リッキー「しかも俺達なら人数もピッタリじゃないですか!これはもう今すぐ運動公園に行くしかないですよ!」
ナイジェル「当たり前だろーが!オメーら、今から1分で支度しろ!」
サラ「雪が積もってはしゃぐのは、クソガキか頭の弱いオッサン限定なんじゃなかったの?」
ナイジェル「金がかかってりゃ、大人は全員はしゃぐに決まってんだろーが!」
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