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……………

ナイジェルとロビンの銃撃戦は時間が経つにつれて激しさを増していた。

銃声は何発も廊下中に響いている。


パリンッ!!

「キャァッ!」

銃弾が窓ガラスや電球に命中。

大きな音にビッキーが耳を塞ぐが、割れて破片が飛び散っただけ。

お互い撃つ弾数はほとんど変わらないが、ふたりとも素早い身のこなしでかわし、なかなか相手に命中しない。



「す、凄い。ナイジェルってあんな早い動きが出来たのか?」

「本部では寝てばっかりだもんね!」


ジムとボビーとジョンは彼らの決闘を見ているが、
ビッキーと家政婦、そしてサラの父親は銃撃戦を見る事すら出来ないのか、目を閉じて塞ぎ込んでしまっている。


「やるじゃねぇか、テメェ!」

「貴方こそ中々の腕前ですね!」



ロビンが柱から柱へ走ろうとした。

第六感で感じ取り、ふとナイジェルの目に彼の一瞬の隙が見えた。


今だッ!


すかさず隠れていた銅像から出て銃を構える。

タイミングは完璧。位置も狂いがない。

息を飲む間もなく引き金を引いた。




カチッ…



「あれ?」




引いたが…弾が出てこない。

空振りしたようなその間抜けな音が、ジム達の耳にまで届いた。


「弾切れか!?クッソ、こんな時に!」



ズドッーンッ!!



「グァッ!」

ロビンもその隙を見逃してはいなかった。

相手の銃が弾切れであるとわかると、すかさず足を止めて両手で銃口を向けた。

撃った拳銃の弾がナイジェルの頬をかすり、壁に穴をあける。

彼はそのまま後ろへ倒れてしまった。


「ナイジェルッ!!」


思わず見ていた全員が彼の名前を叫ぶ。


「あいっててて」

右頬を抑えているが、なんとか無事のようだ。

しかしこれは明らかにマズい状況。

今の衝撃で尻餅をついてしまい、握っていた銃もどこかへ吹っ飛んでしまった。

そしてロビンは片手で銃を構えたまま、余裕の表情でこちらへ優雅に歩いてくる。



「こんな大事な場面で弾切れとは。相変わらず一般市民は不運な生き物ですね」

「グッ」

「私の銃は対長期戦に備えて装弾数を一般のリボルバーよりも4〜5発多く撃てるよう改良しているのです。まぁ、その分値段もグッと上がっちゃいますがね♪」


そこで黙っていたナイジェルも座ったまま口を開く。

「よくもまーペラペラと自慢話が出てくるもんだな。良い所育ちも大概にしとけよ」

「この期に及んで妬み口ですか?醜いですね」


空気がピリピリしている。

完全に不利な状況だ。

このままでは間違いなくナイジェルがやられてしまう。





「ナイジェルさんッ!危ないわぁあっ!逃げて!!!」


家政婦は彼の危機を察して飛び出そうとするが…


「危ねーのはテメェだババァ!ひっこんでろ!」

「ナイジェルさん(//▽//)キューン」

「ババァって言われて喜んじゃってるよ。ババァのくせに完全にドMだよ」


ジムは興奮気味の彼女の肩を掴んで柱の裏へ引き戻した。




「ごちゃごちゃとうるさいんですよ」


カチャ


親指でハンマーを起こす不気味な音。

ロビンはナイジェルの額に銃口を強く押し当てた。



「最期に言い残す言葉は?」

「ねーよ」


立っている男の笑った目にハイライトはない。

音も立てずトリガーに指を置く。


「フフッ。最期まで気品の欠片も感じられない人だ。

貧乏人は貧乏人らしく、


無様に死になさい」


「ナイジェルッ!!!」



ビッキーの叫び声が聞こえた途端…








「312÷13は?」




「えっ…?」




突然のナイジェルの一言でロビンの指は動く事を忘れ、一瞬全身の動きが完全に止まった。

その瞬間、目にも止まらぬスピードで右手を振り上げ、突きつけられていた拳銃は取り上げられ…


「…ッ!」


ナイジェルはすかさず立ち上がり、ロビンから奪い取った銃の先を彼の眉間に押し当てた。

瞬きをしている間の出来事。

ロビンが気づいた時には、既にその体勢になってしまっていた。



「バーカ(笑)」


男は冷ややかな目で笑っている。


「お前…!それ…どうして…!?」

「さぁ?何でだと思う?」



あまりに一瞬の出来事に、周りで見ていた連中も何が起こったのかわからなかった。

先程まで銃を突きつけられていたナイジェルが形勢逆転。

今は逆にロビンを追い詰めている。


「なっ…何があったんだ!?」

サラの父親が思わず隣にいたジムに問いかける。

「わかりません!ただ何か…数字を言ったような…」

「数…字…」


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