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……………


「お前、本当に脳みそが『お勉強』で出来てるんだな」

「……ッ」

「インチキ臭ぇお前の母親が言ってたじゃねーかよ。サラとの見合いの時に…」

「お前、あの場所にいたのか!?」

「あぁ。最初はインテリをアピールする為の小芝居かと思ったが、お前はサラの親父からの問題にも平然と答えてたし…そこだけは嘘じゃねぇと確信していた」


見合いの時の母親の言葉と聞いて、ビッキーが思い出したように両手を叩いた。

「そうだよ、言ってた!そういえばあのお母さん、お見合いの時に!」




*****


「お恥ずかしながら。それから数理論理学についての資料の…あ、私特に数字の羅列が好きなんですよ」


「あっそうですの!私の息子、計算が大得意なんですのよ!」


「計算というと…暗算とか?」


「まぁ、軽く…癖というか」


「そうなんですの!私が生徒の授業をしてる時にも、アシスタントをしてたこの子が癖で勝手に計算してポロッと答えを口に出しちゃう程!」


*****


確かに言っていた。

どうでも良い他人の自慢話の為、真面目に聞いていなかったが、

「癖」と言っていた事ははっきりと覚えている。




「チッ」と舌打ちをしたロビン。

彼の額には汗が滲んでいる。


「頭脳派セレブが裏目に出たな。死にたくなかったら、隠し持ってる凶器を全て足元に捨てて両手を上げろ」

「…グッ」


彼はどうする事も出来ず、何も出さないまま両手を天井へ上げる。


「隠してんのはねぇのか?」

「私が持っていたのはそれだけだ」

「嘘つくんじゃねぇ!!」


ナイジェルはタバコを床に吐き捨てて怒鳴り、彼を炙る作戦に出た。

男性にしか出せない声で彼を怯えさせ、嘘を全部吐かせようとするが。



「嘘ではない!!」

「………。」


おとずれる静寂。

銃口を額に押し付けたまま、もう片方の手でスーツの腰回りと胴回りを軽く叩いて確認してみるが、特に変わった様子はない。

どうやらこれ以上カマをかけても意味がないようだ。


「わかった。このまま動くんじゃねーぞ」

「チッ」


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