……………

結局、アンティークショップでのお買い物はリッキーがバレルにホームベーカリーを買ってあげるという謎のオチで話が終了。

代金を支払い、重たい荷物を手に持って盛大にため息をつく。

なんで俺がこんな高い物を…という気持ちと、それから肝心のローラへの誕生日プレゼントが決まっていない事が理由だ。


店を出た所でリッキーは辺りをキョロキョロ見渡してみた。


「どうしようか。もう1軒でもお店を探してみる?」

「…………。」


ふとバレルに目を向けると、彼は頻りに腕時計を確認している。


「バレル、どうしたの?」

「行きたい店がある。車を出せ」

「え!?ほんとに?」


なんと今まで「帰りたい」の一点張りだったこの男が、突然店のセレクトをしたのだ。

驚いて手に持っていたホームベーカリーを落としそうになってしまう。


「どうしたの!?いきなりやる気満々になっちゃって!やっとプレゼントを買う気になってくれたの!?」

「いいから、グズグズすんな」

「マジで!?わかったから!ちょっと待ってよ!」


思ってもいなかった展開にリッキーも興味津々。

駐車場へ戻り始めるバレルに、喜んで付いて行く事にした。









……………









「あ…あのさ…バレル…」

「あぁ?」

「なんでこの店を選んだの?」

「金がねぇからに決まってんだろーが」



バレルに案内されて10分後。

デパートを出て向かった場所は、お洒落の欠片もない廃れた商店街の一角。

路肩に車を停めて降りたリッキーは呆然と立ち尽くした。


周りは近くに住むおばさんや、貧乏な若者がうろついている。

なんとなく想像していたイメージとは違う。



そして目の前に堂々とそびえ建つ店の名前が…







『激安スーパー・マツヲ』







黄色い背景に派手で大きな赤文字の看板。

店内が大量の商品でゴチャゴチャしていて、1円でも安い品を求める主婦達が買い物カゴを片手に奮闘している姿が外から丸見えだ。



「うん。確かに安いね…。俺もこういう店好きだよ。なんでも安いしお菓子とか箱買い出来るし。
でも今日は女の人へのプレゼントを選びに来たんだよ。凄く安いけど、ここにはそういう物はないんじゃないかな」

「…………。」


もちろん返事はない。

まさか本気でこの店でローラさんへの誕生日プレゼントを買うつもりなのか?

慌てて何か別の道はとリッキーは辺りを見渡すと…



「あっ」


丁度隣に可愛らしい小さな雑貨屋さんがある!


「ほら、隣に雑貨屋さんがあるじゃん!こっちにしようよ!」


すかさずリッキーは「星の砂」と書かれたその雑貨屋の手作り看板を指差すが


「んな金使えるか」


あっさり拒否されてしまった。

そのまま入口に積んであった買い物カゴを手に取り、ズカズカと『激安スーパー・マツヲ』の中に入るバレル。


「バレル!ちょっと本気なの!?ねぇ!君こういう店に入るキャラじゃないでしょ!?」

言っても聞かない事は初めからわかっているので、リッキーは仕方なく彼の後を追いかける事にした。


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