……………

店内は想像する以上に商品で溢れかえっている印象。

大型カートに安売りの商品がそのまま大量に放り込まれていたり、棚に並んでいる商品の間に別の商品が置いていたり、なんだかワケがわからない。

しかしさすがに「激安スーパー」と名乗っているだけあって値段はとんでもなく安い。

カップ麺がひとつ50円だったり、箱買い出来るお菓子が余所のお店の半額近くだったり。

食べ物に関しては、この人は質より量って感じだから。

こんな場所でいつも食べ物をいっぱい買ってるのかな。

ちょっと体に悪そうな気もするけど。



「……………。」


しかし今回はカゴに商品を入れようとせず、魚売り場の横に寄りかかって黙って立った。

プレゼントどころか野菜ひとつ入れようとしないのだ。


「あの…バレルさん?プレゼントは?プレゼントは探されないのですか?」

「………。」

「ねぇちょっと。無視しないでよ」


リッキーの言葉には耳も傾けず、ただただ腕時計を確認するバレル。

これから何かあるのだろうか。

そう言われれば、自分達の周りにもだんだん人が集まってきて彼と同じように時計を確認している。






ガラララッ



そこで店員が大きなカートに大量の何かを入れ、この魚売り場近くの広めのスペースに運んできた。


これはまさか…



リッキーの目尻がヒクヒクと動く。

そのカートの中に入っていた物は…






店員「皆様お待たせしました!本日の赤字覚悟大セール!焼肉弁当150個限定、ひとつ100円!なんとビックリ100円でございます!」





このスーパーの名物・激安タイムセールだ。








「ウガァァァアアアア!!煤v


「ギャァァァァアアアア!!煤v



「わわッ!」

この時を待っていたと言わんばかりに、主婦のおばさん達がカートに群がり、リッキーはその気迫に2〜3歩足を引いた。

店員は突き飛ばされるわ、乱闘が繰り広げられるわ、とんでもない破壊力。

まさに戦場だ。



「バレッ…えっ?」


すると彼は、持っていたカゴを自分に突き出す。



「手当たり次第に入れろ。30個以上取らないと殺す」

「自分の弁当買いに来たの!?プレゼントは!?」

「その中から選ぶ」

「選んだ所で全部焼肉弁当じゃん!
どんな誕生日プレゼントだよ、そんな物やってローラさんが喜ぶと思ってんの!?」



リッキーの怒鳴り声も、おばさん達の野獣みたいな絶叫にかき消される。

その間に無理やり戦争の場に押し込まれ、バレルの姿は見えなくなってしまった。






あーもう!

何考えてんだ、あの人!!


痛いッ足を踏まッ…

ウガッ!

誰!?今、肘が顎に…!


痛い痛い!髪を引っ張らないで!フガッ!だから誰なんだよ!さっきか……イッテ!足をまた踏ま…



まるで濁流の客の群れで揉みくちゃにされる。

前もまともに見えない状態。



邪魔よぉぉ!!退きなさい!―…!!

ぐあぁ!それは私の!!



「あーもう!!」


もうこうなったら仕方がないと、おばさんの渦に飲み込まれながら、リッキーはカートに手を伸ばして弁当を取る事にした。

足を踏まれ、肘をぶつけられ…

押し潰されながらひとつずつ。


バシッ!!むぎゅっ!


「痛い!痛い!イテェッつってんだろババァ!!怒」


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