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こちらはまだ緊張の糸が張り詰めたままの、銃撃戦が繰り広げられた広い廊下。
割れたガラスや銅像の破片。
柱や床に残る弾の跡からプスプスと煙が出て、空間には火薬の匂いが残る。
ナイジェルは男の頭に銃を突きつけたままだ。
「オイ、ババァ!」
「ア…アタシ!?」
周りをキョロキョロ見て、自分の鼻の辺りを指差す家政婦。
「オメー以外どこにババァがいんだよ!早く警備員を連れてこい!」
「あ…ハイッ!」
「あと、サラの兄ちゃんとお父さんよ!」
「何ですか?」
「見合い相手は捕まえたし、アイツ…サラを迎えに行ってやれ」
「……ッ。わかりました!」
慌ただしく走り出す足音。
大きく頷いた家政婦とサラの兄と父親が出て行った後、ナイジェルはロビンの顔を見た。
彼は完全に生気を失い、気を失ったように下を向いている。
もはや気品の「き」の字すら感じられない惨めな姿だ。
「なんかもう生きるのも辛いって面してんな」
「………。」
ナイジェルのかけた言葉にも全く反応しない。
完全に負けを認めたか。
しかし状況も状況だ。油断は出来ない。
いつどう動くかわからない為、この銃を下ろす訳には…
「キャァァァァッ!!!!!!!」
「……ッ!!?」
突然聞こえたのは、出て行ったばかりの家政婦の叫び声だ。
「どーした!?」
尋常じゃないその声に、思わずナイジェルの視線が逸れてしまった。
その一瞬の隙を突き、男は動き出す…!
気がつくと銃口の先にロビンの姿がない。
…しまった!
「クソッ!アイツ…」
ニヤリと不気味に笑っているロビンは、ナイジェルの真後ろに立っていた。
手に持っているのは、足首に隠し持っていた第二の拳銃。
次の瞬間、男は引き金を引いた。
ズド――――ンッ!!!!
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