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コンコンコン!
日曜日の早朝。
日差しがカーテンの隙間から入り込んでくる時間帯だが、部屋の中はまだ暗い。
せっかく今日もバイトが休みだというのに、玄関の扉が叩かれる音が聞こえた。
「…………。」
…誰だ、んな時間に。
クソ眠い。
起きたくないのか、バレルは横たわったままベッドの中から出てこない。
あの女なら、先日事前にメールは来たものの
From:R0_0331jr@…
件名:無し
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豆腐切れたから買っておいてね。
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意味のよくわからないメールだった。
恐らく、送る相手を間違えている。
とりあえずここへは来ない。
コンコン!
だとすると、新聞の押し売りかイカれた勧誘か…
コンコンコン!!!
「チッ…」
最強に頭のイカれたアイツだけ。
リッキー「バレル〜?いないの〜?」
「……………。」
まただ。
なんでしょっちゅうここに来るんだ、アイツは。
無視だ、無視。
絶対ぇロクな用もねぇ。
シカトしていれば勝手に帰る。
声を聞いて少しだけ開いた目も、すぐに閉じてしまった。
「バレル〜?」
「……………。」
「……………。」
名前を呼ぶ声が聞こえなくなる。
帰って行く足音も微かに聞こえたので、奴は諦めて帰ったようだ。
ようやくまた一眠り出来…
ガンガン!!
「バレル〜?」
横たわって頭を向けている壁。
今度はその壁側の大きな窓が叩かれる音が聞こえた。
またか。
もう同じ手は食わん。
どうやって登ってるのかは知らねーけど、ここで俺が窓を開けるのを奴は待っている。
シカトだ、シカト。
ここでも黙っていれば奴は完全に諦めて帰…
「あ、バレルやっぱり居留守使ってたんだね。おはよう」
「…………。」
ベッドの隣に、既に奴(リッキー)は立っていた。
ガバッ!
一時目を開いていたバレルは、状況をようやく理解して毛布から飛び起きる。
「…どうやって入ってきた?鍵かかってただろーが」
「まぁまぁ細かい事はいいから!話があるから入っていい?」
「もう入ってんだろ。気味悪いから帰れ」
ここは2階だ。
生身の体でどうやって登り、どうやって部屋の中に入ってきたのか。
窓も鍵を開けられた形跡もないし、むしろ開く音も足音さえしなかった。
忍者か、コイツは。
「あ、バレル今『忍者か、貴様は』とか思った?」
「思ってない、帰れ」
「でね!今回なんでここに来たかというと…えっと…バレル、今日1日忙しい?」
「忙しい、帰れ」
「それじゃ俺とバーベキューに行こう(・∀・)」
「いつになったら貴様の耳は聞こえるようになるんだ…」
頬に怒りマークを浮かべて指をゴキゴキと鳴らされるも、リッキーは聞こえないフリをして帰る気配を見せない。
「え、行こうよー!皆でワイワイ騒いで楽しめるバーベキュー、略して皆でワイワイ騒いで楽しめるBBQだよ!」
「知らん」
「えー、知らないの?バー(B)ベ(B)キュー(Q)でBBQだよ!よく考えるとローマ字スペルにQなんて入ってないよね」
「そういう意味の知らんじゃねぇ」
全く。素直じゃないなぁ。
相変わらずここまで誘っても表情が全く変わらない。
するとバレルはおもむろに枕元に置いていた携帯を取り、適当にイジり始めた。
…あ。まただ。
「知らない、なんでもない」と言いつつ頭の中で何かを考え始めると全く別の行動を取る癖。
また確実に何か考えてる。
もう一押しだ。
「景色が凄く綺麗だよ!天気も良いし、いつもバイトばかりしてるだろうから気分転換になるよ!」
「知らん」
あ、意味もなく窓を開け始めた!
そんなんで俺がどうやって入ったかなんてわかると思ってるのか!
あとちょっとだ。
「あ!ローラさんも来てるよ!久しぶりにお話でもすれば?」
「帰れ」
なんか洗濯物取り込み始めた!
天気良いって言ってるじゃん、干しときなよ!
もう一息!
「美味しいお肉がタダでたくさん食べられるよ!」
「…………。」
かかった(^○^)(^○^)
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