……………


閉め切ってジメジメした先程の部屋と違い、外は清々しい快晴。

リッキーに連れられ、ふたりが到着したのは大きな川が近くに流れる道路沿いの河原だ。

笑い合う賑やかな声。

その場所には、既にたくさんの大人達が集まってバーベキューを楽しんでいる姿が見えた。


「おお!バレル!来てくれたのか!やっぱ親友が誘うと素直なんだな!」

「親友じゃねぇ」


バレルの姿が見えるや否やすぐに走って近づいてきたのはジムとビッキーだ。

手には肉や野菜の串焼きが握られており、向こう側で具材を焼いているナイジェルやボビーの姿も見える。

他にも数人の男達がいるようで、その向こうにはサラと会話をするローラの姿もあった。


「ほら!バレル君の大好きなお肉もいっぱいあるよ!楽しいからおいでよ!」

「こっち来い!早くしないとなくなっちまうぞぉ〜」


「子どもか」と突っ込みたくなる程、やたらテンション高く走り出すバイク組のバカップル。

その楽しげな姿を見ても特にバレルは表情を変えない。


「さ、行こ!」


ニコッと笑うリッキーの背中に若干目を細め、仕方なく彼は歩き出した。











ジュゥ〜!



炭から火が上がり、網の上でたくさんの食べ物が焼かれている。

肉だけでも牛肉、豚肉、鶏肉。

野菜はキャベツにニンジン、タマネギ、トウモロコシ、その他…

あとは椎茸やエリンギなんかのきのこ類も。

熱気、煙と共にバーベキュー独特の香りが近づくとより一層強く感じられる。

他のテーブルにはアルコール缶やジュースが置かれ、まだ手が付けられていない物はクーラーボックスの氷水に浸けられていた。



「バレル!多分知ってると思うけど紹介するよ。この人はジョン・ヒルさん!サラのお兄さんだ」

「…おひ……お久…しぶりッ…でございます…」


バレルに頭を下げるジョンの姿は、なんだか子犬のように怯えた様子。


ジム「どうしたんです、ジョンさん?足がふるふるしてますよ」

「えっ……や……ぁあ…すいません…」




…こんな男、会った事あるか?

忘れた。


※会っています。



「それから、この人は…」

「雪合戦以来だね、バレル戦闘隊長☆改めて…私は今をときめくスーパーセレブ、ロビン・ジャックマン。
今回は下々の遊び『BBQ』とやらを体験するため、遥々足を運びました。どうぞよろしく☆」

「私はそのママよぉ〜!本名?それはヒ・ミ・(*´・з・`*)チュッ!ちなみにおっぱいはGカップで〜す!」




「チッ」


ジム「おい、バレル。何も言わずに舌打ちするのはやめろ(笑)」

リッキー「貴方も(笑)ってるじゃないですか」


バレルはジャックマン親子の自己紹介にいたく機嫌を悪くしたのか。

物凄い勢いで眉と眉の間が狭くなっている。


そして次に彼の元へやってきたのは…


「アハハハッー!あらぁ、バレルやっと来たのね!ほら、貴方のお姫様よ♪」

「サラさッ…////そんなっ…違います。バ、バレルさん。こんにちは」


ローラの肩を抱いて現れた、既にベロベロに酔った女。

サラだ。

酒好きとは聞いていたが、実際こんなに酔っ払っている姿は初めて見る。


「…………。」

「何よ、無口になっちゃって!あ、もしかして顔に似合わず人見知りシャイボーイなの!?
きゃはははははー、ちょ、ツボったんだけど!お腹痛いわー
ねぇ、ローラさんってさぁ可愛いわよねぇ。
小さくておしとやかで、本当食べちゃいたいくらいー(性的な意味で)
ってなワケで、アンタみたいな柄の悪いチンピラには勿体ないからやっぱ私が食べちゃうわ。
ねぇ〜ローラさぁん。私と結婚し…」



ジム「この女はほっといていい」

バレル「言われなくても放っておく」



ここでは珍しく息の合ったふたり。

酔っ払った彼女は次に「エマちゃんも呼んで私の帝国を築く」と、誰かに電話をかけ始めた。

よくわからないが、ぶっちぎりで頭がイカれている。

このバーベキューに集まっているのは、バイク組の6人とジョンとジャックマン親子、そしてローラで全員のようだ。



「ほら、焼けたぞ。お前も食え」

軍手をはめた手で網から一通り肉を取ったナイジェル。

紙皿に何本か置いてそれをバレルに手渡すと、素直に受け取られた。


「好きな飲み物を取っていいよ!ほら♪」


リッキーがクーラーボックスから取り出したのは緑色のシソジュース。

顔が変にニヤついている。

バレルが飲まない事を知って渡した証拠だ。


彼はそんな馬鹿を無視し、冷たい水に手を突っ込んでビール缶を取った。


「あ、せっかく取ってあげたのに」

「ふざけんな」


彼はそのふたつを持って、ひとり川の近くへ歩き始めた。

相変わらず、人見知りシャイボーイだな(笑)

それにしても、このシソジュース…誰が買ってきたんだろ。

そんな事を考えながら、リッキーは氷水にそれを戻した。


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