……………


「ったく。なんで俺がテメェと街をうろつかねーといけねんだ」

「いいではないか、ナイジェル君!これもバレル君の内情を詳しく探るための重要な任務さ!」



そう。

これは奴の秘密を探るための、格好付けて言えば秘密捜査。


俺達ウィンディランは奴のおかしな行動に不信感を抱き、6人で話し合った結果、こっそりと周りを調べてみる事にしたのだ。

しかし…




「どうしたんだい?僕の顔に何か付いているかい?」



他の連中はひとりずつ散らばってバレルの知人や職場を当たっているのに

何故か俺だけがこの宇宙人とペアを組まされた。

恐らく、ボビーの世話役を強引に押し付けられたんだと思うが。


あの地味アホ毛…俺が誤ってコンタクトを踏んだからって地味にこんな嫌がらせを。


リッキーが職場のファミリーレストランに入り、ジムはよく出歩いているコンビニや近辺の道、サラは家の周辺だったり。

それぞれが持ち場で情報を仕入れている。


そして俺とボビーに出された指令が





ジム「…まぁ、その辺をテキトーに探しといて」







なんなんだよ、それ(怒)

テキトーなのはお前の指示じゃねーか。


あの影薄地味アホ毛…俺がイチゴとトマトを間違って買ってきたくれーで露骨にこんな嫌がらせを…





「ナイジェル君、ナイジェル君」

「あ?」

「こうやってふたり並んで歩いてるとさ、僕らカップルみたいに見えたりするのかな////」

「なに男相手に少女漫画みてーな事言ってんだ!いい加減気色悪いから離れろ!」

「ふぎゃん!」


やたらベタベタくっ付いてくる宇宙人の鼻をへし折り、タバコを咥えて機嫌悪く再び街中を歩き出す。


ったく…大体あのバレルがこんな街中まで来るか?

アイツなんか、ファミレスと家とコンビニをエンドレスに往復してるだけだろ。

こんなでっけービルの建ち並ぶ市街地なんか…




「オイ、ボビー!いつまで倒れてんだ!置いてくぞ!」

「ナイジェル君…」

「あ?」

「あれを見たまえ」



道路に倒れたボビーはその体勢のまま、ある方向を指差した。

その先はビルとビルの間の細い道だ。


「は?なんだよ?」


彼に言われるがまま戻って見てみると、その道を抜けた向こう側に警官らしき人物がふたり立ち話をしていた。



「あれがどーした?」

「君にはふたりの会話が聞こえないのかい!?」

「ビルひとつ挟んでんだぞ。聞こえるわけねーだろ」

「とにかく!付いて来たまえ!」

「え、ちょ…」



立ち上がってその細い道に入り込むボビー。

慌ててナイジェルも追いかけて道に入る。

一体何考えてんだ、あの宇宙人。

こんな狭い路地裏に入って…ガキじゃあるめんだから。


無駄な時間と体力消耗にイライラしながら、その道をひたすら進んだ。






「〜なぁ…」





距離が縮むにつれ、警官ふたりの声が微かに聞こえるようになり…









「全く、汚いなぁ」

「本当だな」




「君達!!!!!」




「「ウオッ!!」」



突然背後から現れた小柄な全身タイツの男に驚いて、当然の事ながら警官達は足のバランスを崩した。



「今の話は本当かい!?」

「はぁ?誰だい、君…ビックリした」

「あぁっ、すんません。俺のペットやんちゃ盛りで」


ようやくビルの隙間から抜けられたナイジェルは、すぐさま苦笑いして暴走するボビーの背中を引っ張る。


「ぺ…ペットなんですか」

「ははは。それより、おふたりはこんな所で何を?」

「あぁ…ほら見てください」


「えっ…」



警官に言われ、地面を見てみる瞬間まで気がつかなかった。



こんな人の多い街の中。



バレルには何も関係のない場所だと思っていたが




瞳に映る光景に思わず言葉を失う。




地面のあちらこちらに、

ぐちゃぐちゃに散乱した弁当の中身が飛び散っていたのだ。

調理された肉が見える事から、焼肉弁当か何かだと思われる。


そして、それもひとつじゃない。

落ちている箱は、数える限り5つはある。

すぐ足元には潰された消毒液の容器にビニール袋だ。




「これは…」

「上の丘をパトロールしていたら偶然見つけたんです。
食べ物をこんな粗末にするなんて罰当たりな奴がいたものですね。こりゃ片付けが大変だ」


ナイジェルの脳内に悪い予感がよぎる。


ビニール袋に印字されたロゴは、バレルの自宅の比較的近くにあるコンビニと同じ。

それに、この量の弁当。

男でも2〜3個が限界の弁当を、こんなに食べられる人間なんて限られてくる。

そして消毒液。




地面だけではなく、ビルの壁などにも散乱しているこの状態。

普通に落としたくらいじゃ、こんな事にはまずならないだろう。

明らかに何かあったとしか思えない。






「こりゃ清掃業者にお願いするしかないな」

「そうだな」



特に深刻に考えていない警官達は、汚くなったこの場所を綺麗にしようと業者へ電話をかけ始める。









これは…なんなんだ、一体。


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