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……………
ひっそりと佇む、とあるビルの一室。
趣味が悪いドクロの置物や真っ赤なカーペットが印象的なこの部屋に、太陽の光は入ってこない。
大きめのソファーに緑色と黒色の髪の男がふたり座り、背もたれに腕をかける緊張感のない体勢で話をしていた。
「まぁ…ボスも執念深いよなぁ。2年も前のネタを今でも根に持ってるなんて」
「ホントだな。確かケンカに負けたんだっけ?」
指にゴツゴツとした指輪。
口や眉、舌にいくつも開いたピアス、チェーン状の物も。
そして腕、首に入れられた刺青。
この趣味の悪い部屋によく似合う風貌の男達だ。
「たったそれだけの恨みを晴らすために、こんな大それた組織を立ち上げるなんて…やっぱすげぇよな」
「なんでも昔あの男に負けて恥をかかされたのが原因で、前の組を追放されたらしいぜ?よくもまぁここまで這い上がってきたもんだ」
足を組み替えたり手混ぜをして、男達は雑談を続ける。
「執念の塊みてぇな人だよな。俺達も逆らったらロクな事にならなそうだ」
「そうだな!どこまで逃げても追いかけて来そうだしよ。ストーカー気質だし」
「ストーカー気質かぁ〜。そいつはおっかねぇな」
「「ウオッ!」」
いつの間にか自分達の真後ろに立っていたスーツの男。
ネクタイを緩め、下っ端の男達を見下ろす。
彼らの組織のボスだ。
「ボボ…ボス!?」
「い…いや、違うんす!ただ俺達はボスには逆らえないなぁ、と言っただけで!」
「フン」
まぁいい、と言いつつも機嫌が悪そうに自分専用の一際豪華な椅子に向かう。
背が高くガタイの良い体が乱暴に座ると椅子もギギッ!と悲鳴を上げる。
彼はすぐに胸ポケットからライターを取り出し、咥えたタバコに火をつけた。
「オイ」
「は、はい!」
「ボス」に呼ばれ、下っ端の男ふたりはソファーから離れて慌ててデスクの前に立った。
すると片方の男に一枚の写真が渡される。
ひとりの若い男性の写真だ。
「前の奴が使いモンにならなくなった」
「え、もうっすか?」
「毎日泣いて泣いて『帰してくれ』の一点張りだ。
使えるモン作れねー奴はゴミになるだけだ」
「………。」
温度のない冷たい言い方にごくりと息を飲む男達。
ゴミになるだけ。
その言葉だけで、この人の人間に対する感情がよく伝わってくる。
「奴らも早く次のを出せと我が儘でなぁ。打ち合わせと扮して自分達の所にソイツをおびき寄せるらしい。そこを捕らえろ」
「わかりました。すぐに連携します」
ふたり同時に頭を下げ、その部屋から出ようとした瞬間…
「誰が仲良くふたりで行けと言ったぁ?」
「…ッ」
聞こえた声に自然と足が止まる。
「その件はスティガーひとりで行ってこい。エド、オメーの仕事はこっちだ」
指示を受けたのは黒色の髪の男。
もうひとりの緑色の髪の下っ端は、ボスに引き留められて部屋に残った。
デスクの前に戻ると、彼は再び自分の胸ポケットに手を入れ
先程とは別の写真をテーブルに出した。
「お、可愛い。誰っすか、この女」
「お前の仕事はこの女の誘拐だ」
「え、マジですか!?俺が連れ去っちゃっていいんすか?」
明らかに緩んでいる男の顔は、何かよからぬ事を考えている証拠。
ボスは椅子にふんぞり返り、長い足を豪快に組み替える。
「その女を生きたままここに連れて来い。殺さなければ連れて来るまでどうしたって構わねぇ」
「へへへ。どうしちゃうかわかってるくせにー。
任せてください、ボス。俺がちゃーんと元気なままここに連れてきますから」
ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべ「エド」と呼ばれた男は写真を懐に仕舞った。
写真に映っている、道端を歩いている女性の姿。
彼女の手には飲みかけのコーラが握られている。
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