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……………


「ハァッ…ハァッ…」


間一髪の所で追っ手を振り切れたローラは、今にも吐きそうな息遣いでホテルのベッドに座り込んだ。

明かりをつける余裕もなく、ただ呼吸をするだけで精一杯。


まだ…生きた心地がしない。

なんだったの、今の人…

思い出しただけで手や足、歯が重なり合ってカタカタと震える。

もしあそこでタクシーが通りかかっていなかったら、私は確実に追いつかれていた。

その結末を想像しただけで血の気が引く。


「……ッ…」



無意識に震える手で携帯電話を取った。


ゆっくりとボタンを押して、ある人の名前を表示する。


バレルの番号だ。



余計に心配をかけるかもしれないと思った。

それに今は仕事中だし、出てくれないかもしれない。




ピロロロロッ


ピロロロロッ




だけど…電話せずにはいられなかった。

このままひとりで黙っていると、気が狂ってしまいそうで。




『…どうした?』



出てくれたっ…

あの人の声だ。



思わず自分の声が震え、携帯を両手で強く握り締める。



「バ…レルさ…」

『オイ』


「さっき…知らない人に…追いかけ…られました…」


『……ッ…』



彼の声が電話口から消えた。

聞こえるのは、背景の食器のぶつかり合う音や接客の声。


その後、彼はすぐに訊き返す。


『どこにいる?』

「ホテルですからっ…もう大丈夫です…」

『今から行く。鍵をかけて絶対ぇそこを動くな』

「えっ…今仕事中でしょ?大丈夫で…」




ツー…


ツー…




「あの…バレルさん?」



気づいた時には、通話は既に切れてしまっていた。


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