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……………


普段、あまり着ないようなピンク色の派手な服。

長い髪は帽子に入れてしまい、それに眼鏡も装着。

これなら一見、私だとは判断しにくい。


「ビッキーから急遽借りてきました。サイズも大丈夫そうですね」


私はリッキー君に言われるがまま、隠れるようにホテルを出て彼の車に乗り込んだ。


追いかけてきた人は、私の泊まっているホテルの情報をいつ掴んでもおかしくない。

それにこれ以上ひとりでいるのも怖いし、バレルさんも危ないと思ってくれたのかもしれない。



「大丈夫ですか?ローラさん」


表情の暗い私を心配してくれたのか、運転しているリッキー君が隣から話しかけてくれた。


「…う、うん。大丈夫」

「知らない人に追いかけられたらしいですね。怖かったでしょう」

「バレルさんに聞いたんですか?」

「はい」


ある程度の事情はあの人が伝えてくれているらしい。

彼のかけてくれる優しい言葉でなんとか自我が保てるけど

バレルさんの行方がわからない限り、不安な気持ちは完全には拭えない。


「とりあえず、もう大丈夫ですよ」

「…はい」

「バレルの事…心配ですか?」

「え?」


赤信号で停止した所でふと視線を横に向けるが、リッキー君は信号から目を逸らさずに言葉を続ける。


「バレルは貴方をこちらで匿う事を俺に頼んだ後、すぐに出て行ってしまいました。
行き先を訊きましたが、結局教えてくれませんでした。
恐らく俺達も自分の関わっている騒動に巻き込みたくないんだと思います」

「そうですか…」


再び動き出す車。

空は私の気持ちをそのまま映し出すような曇り空。

10分程走った所でウィンディランの建物が見えてきた。













「ローラ!大丈夫か?」

玄関から中に入ると、兄のジムをはじめメンバー全員が彼女の元へ駆け寄ってきた。


「うん。私は大丈夫」

「本当か?ったく何なんだよ、今回の件は一体…」


妹の無事を確認して一安心したジムは、頭を掻いて膝に手を付けた。


「理事長さん…帰ってもらってよかったの?」

「あぁ。あんな小言をネチネチ言ってる何の危機にもさらされてないオッサンより、自分の家族の命の方が大切に決まってるだろ」

「とりあえず来てください。貴方の部屋に案内するから」


1階のとある客室用の空き部屋。

話し合った結果、ローラは騒ぎが落ち着くまでこの部屋に匿われる事になったようだ。

ベッドとテレビ、そして窓。

何の面白みもない味気ない部屋だが、生活をしていくには充分なスペースだ。


「いいですか?騒ぎがおさまるまでは、何があってもこの建物からは絶対に出ないでください」


強くリッキーに指示をされ、コクリと慎重に頷くローラ。


「わかりました」

「ここの部屋にずっといなくても、普段はメインルームやお兄さんや他の女性の部屋にいても大丈夫です。
極力誰か別の人と一緒にいた方が安全ですから」

「はい」

「何か変わった事があれば、すぐに言ってください」

「わかりました…」


ここが私の安全が確保されるまで身を隠す場所。

今の私に出来る事は、この部屋で無事に帰ってくるバレルさんをひたすら待つ事だけ。

それ以外は…なんにも出来ない。


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