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……………
室内に溢れる焼かれた肉の香り。
空になった茶碗。
空になっている物もあれば、なっていない物もある飲み物。
「ふぅー、満足満足!」
ここは前にシングル曲「Going my way」がドラマの主題歌に決まった時にお祝いとして訪れたお店。
エマにとっても2回目の来店だ。
膨れた腹をさすり、爪楊枝で歯と歯の間の汚れをかき取る日晴の姿はほとんど中年のオッサンに近い。
「キョウ君、食べたねぇー。ごはん4杯もよく入るよぉ」
「1杯で満足な雪之原さんが不思議なくらいっすよ!ねー、美空さん!」
「……え?あぁ、そだね」
「…?」
普段となんとなく違う様子の美空…?
日晴はそれに気がついて爪楊枝を咥えたまま、彼の顔を覗き込んだ。
「…そいえば美空さん、なんか今日元気ないっすね。貴方も飯1杯しか食べてないし。具合でも悪いんすか?」
「具合?悪くないよー。ちょっと考え事してただけ!」
「美空さんが考え事してるなんて、それもある意味体調不良っすよ?」
「何それ、馬鹿にしてんの?」と、笑う美空は日晴に肩パンを食らわせた。
反対側の端の席。
向こうの方では、雨宮が携帯を見せ隣で嬉しそうに笑うエマの姿が見える。
…エマちゃんさ、ミヤ君と付き合ってんの?―…
彼女は違うって言ってたけど。
昔はミヤ君にだって怖がって、僕の後ろにすぐ隠れていたのに。
あんなに笑顔を見せて、ふたりの顔の距離だって近い。
あの時。
僕に本当の事を、ちゃんと答えてくれたのかな。
・
・
・
それぞれの腹も満たされ、満足気に店を出た男5人とエマ。
空ももう暗く、ちらほら星が見えている。
「それじゃ、今日はこの辺で解散しますか」
「エマっちはどうする〜?ひとりじゃ危ないよねぇ」
「問題ない。僕が自宅まで送る」
雨宮が彼女を送る役を引き受け、その場で解散になろうとした直後…
「ミヤ君」
「…っ」
雨宮に話しかけてきたのはネクタイを緩める美空だ。
「僕も一緒に行くよ」
「気を遣わなくてもいい」
「いーからいーから!」
雨宮の言葉も押し切って、強引に彼らの仲間に加わった。
彼は携帯に文字を打ち、エマにそれを見せる。
『僕も一緒に送るよ(^▽^)』
エマも最初は遠慮気味にいいのか訊き返していたが、美空はその気満々。
申し訳ないと思いつつも笑って首を縦に振った。
「あり…がとう…」
「どういたしまして」
雨宮は無表情で口を閉ざしたままだ。
「まーた始まった」
「いいんじゃないのぉ。ボディガードは少しでも多い方が安心だしぃ」
「そのボディガードに下心がなけりゃいいんすけどね」
しょうがないなぁ、と日晴は頭を掻いてため息をついた。
「じゃ、よろしくねぇ。ナオ君、リツ君〜」
「貴方達が彼女を襲ったりしちゃダメっすよ!」
「うーん…ミヤ君がいるから今回は諦めるわぁ」
「七音。馬鹿な事言ってないで歩け」
雨宮と美空がエマを挟む形で、
3人は横一列になって夜道を歩き出した。
「全く。本当に大丈夫っすかね」
「あはは。そうなればなったで、僕は面白いと思うけどねぇ」
「「………。」」
また始まった。雪之原の悪い癖。
怪しい笑みを浮かべる彼を、クラウディは苦笑いで、日晴は引いた顔で受け止めた。
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