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……………
「ふむ…この日はライブの後に時間が少し空くな。何か…」
「お兄ーさん♪」
外のベンチに座って手帳を開いていた眼鏡の男。
どうやらスケジュールの確認を行っていたらしい。
そこでスッと黒い影が体を覆い、彼は顔を上げた。
「どなたですか?」
「やー、突然声をかけてしまいすんまへん。
実は僕、人の手助けをするなんでも屋を営んでおりまして。
こんな日曜の昼間からひとりで公園におるなんて何か悩みでもあるのかと思い、お声をかけさせて頂きました」
怪しい長髪。
そして怪しい関西弁口調に、彼は当然ながら警戒する表情を見せる。
「結構です。別に深い意味があって、ここにいるわけではありません」
「またまた〜!人間生きていれば、悩みのひとつやふたつくらい…」
「結構です」
ますます近寄ってくる怪しい気配に、彼は手帳を閉じてその場を立ち去ろうとする。
「ほら」と言っている弥生に顔を見られ、それでも葛西は必死に食い下がろうと後を追った。
「そんな、よう考えてみてください。君くらいの年代なら悩みのひとつやふたつあるでしょ!老後の年金とか、目肩腰の疲れとか」
「僕はまだ10代です(怒)」
「冗談ですて!なぁ〜、僕今金欠なんです。真っ向から突っぱねんと少し話を…」
「しつこいですね。警察を呼びますよ?」
「君は今…好きな女の子がおるやろ?」
歩き続けていた足が突然ピタッと止まる。
葛西からの言葉に何かを感じたのか、眼鏡の男はゆっくりと振り返った。
「…わかるのか?」
彼の問いかけに、今までに見た事のないような優しい笑みを浮かべられた。
開いていないのに、何故か全てを見透かしている目だ。
「当たり前ですわ。話、あったら聞きますで?」
「……っ…」
強い木枯らしが吹き、公園の木々を揺らした。
その勢いで彼らの話はすぐに成立。
眼鏡の男は自身の悩みを打ち明けるために、公園のベンチに戻った。
「準備をする」と仕掛け人のふたりは一旦その場を離れ、彼を遠目で見つつ弥生は葛西に問いかける。
「なんでわかったん?あの人に好きな子がおるて」
「え?勘や」
「勘?」と声を漏らす弥生にニンマリ笑うもうひとりの眼鏡。
「あの年頃の男は大体、好きな女子の裸か、今やってるゲームの攻略法か飯の事しか考えとらんからな。
どれかを適当に言えば大体7割の確率で当たるもんなんや。
まっ。どんなに賢そうな奴でも、男なんて所詮単純な生き物ってわけですわ」
「期待して損したわ」
本当に不思議な力が使えるようになったのかと疑ったのか、彼女は目を細めて荒く腕を組んだ。
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