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……………
「ユキチユユキチユキチキチ!」
住宅地一帯が眩い光に包まれる。
呪文の言葉と同時にケルベロスのキャロラインは弥生の持っている壷に引きずり込まれ…
そしてその体は魂もろとも全て封印された。
「「は…はぁ…助かったぁ…」」
安堵してコンクリートの地面へ座り込んだビッキーとボビエ。
ボビエはあれだけの狂犬に襲われたにもかかわらず、何故か体は無傷だ。
座り込んでいるふたりに、壷を持ったままの弥生が近づいた。
「怪我はありまへんか?おふたりさん」
「う…うん…」
「つか、アッチの倒れてる眼鏡の方が怪我しまくりじゃね?」
「いつもの事や。気にせんといてください」
「ケルベロスに頭かじられるのがいつもの事系って…」
「そいえば葛西君。前も幽霊にメスで刺されて無傷だったね」
キャロラインが封印されている壷を飼い主であるボビエに渡して、弥生は立ち上がった。
「とにかく、封印は完了しましたわ。
あんさんの家に帰ったら封印を解いて、ちゃんとイチからしつけをしとうてやってください。
凶暴化しても犬自身に罪はあらへん。
動物の悪事は全て飼い主の責任や。
しっかりとダメな事はダメやと教えてやれば、動物は必ずそれに答えてくれはります。
自分のペットが可愛いのであれば、それをきちんと理解し、覚悟を決めて飼うてください」
「は…はぁ…ありがとうございます…」
あのボビエも弥生の前では何故か標準語だ。
「で?弥生ちゃん。その封印ってどうやって解くの?」
「壷に貼ってるお札を剥がしながら『ヒデヨ、ヒデヨヨ、ヒデヨヨヨ』と唱えてください」
「「なにその弱々しいパスワード!」」
「パスワードやのうて呪文です」
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