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……………
【何故、他人に相談したんですか?
断る理由もわかりません。
一度会って話をしましょう。
〜日12時、学校校門前で待っています】
「「………。」」
内容を読んで固まるweather lifeのメンバー。
そして
ビリッ!!
数秒の沈黙の後、その空気を壊す雨宮と美空が同時に手紙を真っ二つに破った。
「ふた…りっ…とも…!」
「なんなの…?ねぇ、なんなのコイツ?なんなんだ?一体どうなってんだ?」
「…ウゼェ」
「だから顔怖いですって!キャラにない鬼の形相っすよ」
なんとあのメールを受け取っておきながら、男はまたエマに手紙を送ってきたらしい。
しかも何度連絡を取ろうとしても埒が明かないため、今回は有無を言わさず会う約束を取り付けてきた。
美空は頭を抱えて何度も振り回し、雨宮は普段発言しないような品のない言葉を漏らす。
見た事もない男に怒りの感情が爆発し、思考がおかしくなっている。
「美空さん、雨宮さんっ…お気を確かに」
「だってさ!だってさ!こんな往生際の悪い奴初めて見んだけど!断られてる分際で何この言い方!」
「で?会わせるのぉ?」
「そんな事したら何されるかわからんだろ!絶対にダメだ!」
頭に血が上るふたりを日晴が必死に宥める。
「…?」
クラウディはその光景を横から眺めていると、ふとエマの顔が真っ青になっている事に気づいた。
彼女の背後に近づき、トントンと肩を叩いてみると
「ひゃっ…!あっ…クラッ…ご…ごめんな…さっ…」
少しビックリさせてしまったか。
クラウディは両手を合わせて「ごめんね」のポーズをする。
「あれ?そういえばエマさん、なんか今日様子が変じゃないっすか?」
日晴の言葉に同意の意味を込めてクラウディも頷いた。
自分に周りの視線が集まり、彼女は壁に目を向けてしまっている。
気になった日晴は、とりあえず問いかけてみた。
『エマさん。元気ないみたいだけど、どうかしたっすか?』
「い…いやっ…」
言われてみると、確かに普段より血の気が引いている印象。
具合でも悪いのだろうか。
『正直に答えていいっすよ』
「……っ…」
その文章に視線を右へ左へ向ける。
皆っ…私の方を見ている…
その視線に耐えかね、小さく口を開いた。
「じ…っ実は…その…手紙……学校じゃなくて……家の…ポスト…に…入って…たの…」
「「……ッ…」」
静まる室内。
美空はすぐにエマの傍に近づいた。
『ちょっと待って。って事は家まで調べて押しかけて来たって事!?』
「た…ぶん」
「何それ!もうストーカーじゃん!」
男の行動は更にエスカレート。
拒否の意思を示せば示す程、ますます図々しくなってきている。
これはまともな人間ではない。
『エマはこの男と会いたいか?』
「会いたく…ないっ…怖い…」
雨宮が確認をすると、強く首を横に振る答え。
教えてもいないのに自宅を知られているという事は、学校からの帰り道をずっと付けられていたという事。
そんなもの、誰だって怖いに決まっている。
「どうするぅ?」
「ふむ。何か事件があってからでは遅い。警察に相談した方がいいんじゃないか?」
「でもまだ手紙を貰ったってだけでしょ?動いてくれるっすかね…」
思った以上の深刻な展開に5人は対策を考える。
彼らの話さえ聞こえないが大方の検討がつくのか、エマは心苦しそうだ。
ぽん!
この重い空気の中、突然軽く手を叩く音が聞こえた。
これは…
頼りになる!クラウディさんのアクションだ。
「お!クラウディさんが何か閃いたみたいっすよ!」
「何!?ディ!」
彼が取り出したのは、ひとつのカツラ。
紫色の長髪で、その色はまさにエマの髪色そっくりだ。
「それ…もしかして僕達の誰かがエマちゃんに変装するって事?」
コクリと深く頷くクラウディ。
「おとり作戦というわけか。本人に成り代わり、相手の男に会うと」
「本人が行くのは危ないし、俺達でハッキリ断っちまえばいいじゃないっすか!ナイスアイデアだと思いますよ!」
日晴も雪之原も賛成のようだし、ここで変にエマ本人を差し出しても危ない。
気づかれる危険はあるが、ばれずにハッキリと拒否の意思を伝えれば諦めてくれるかもしれない。
乱暴されそうになっても、男である我々なら太刀打ち出来る。
賭けてみるしかないか。
「よし、わかった。やってみよう。それで肝心の変装は誰がやるんだ?」
日晴「うーん…目の感じとか雰囲気はクラウディさんが一番近いっすけど。ちょっとその身長は誤魔化せないっすよね」
美空「一日で身長が35センチ伸びた事にすれば?」
日晴「気持ち悪いっすよ。竹じゃないんすから」
雨宮「身長的には響介が一番近いが、お前は肌の色がな…」
美空「一日で肌が小麦色に焼けた事にすれば?」
日晴「いやだから…。日光浴びまくって日焼けして身長が35センチ伸びました!…って、そんななってたら絶望して逆に男は諦めるかもしれないっすけど」
雨宮「僕と七音も全体的に不自然だし、やはりお前か…」
「えへ★どぉ?可愛いでしょぉ〜?」
ほっぺに指を押し当て、くるりと一回転する残った男。
雪之原だ。
「決まる前からカツラ被ってるっすね」
「好きでやってるのだからいいだろう。全く…お前の趣味は理解出来ん」
「ユキ、自分で可愛い事を自覚してるんだね」
話は雪之原がエマに変装し、この手紙の男と会う流れに。
多少の不安は残るものの、相手の顔を見てやるいい機会だ。
あとは彼が相手に勘付かれず、無事にエマになりきれるかどうか。
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