……………

ジムのローズネームも無事に決まり親睦が深まった所で

ジム「深まってないよ」

早速、話は本題の方向へと切り替わった。


「…で。俺をこの店に連れてきた理由って何?」

「んまぁ!ナイジェリーナ、事情を話してなかったのね。まぁいいわ!それじゃアタシ達が説明したげる!」

「説明?」


口を半開きにしているジムに、青髭のオカマがクスッと笑った。

「そうよ、ジミー。この部屋全体を見ておかしいとは思わなかった?」

「全体…あ」


そういえばこの店。

無駄に派手で全く気がつかなかったが、周りにソファーはいくつもあるのに他の客が誰も座っていない。


「貸切?」

「そうよ!邪魔者が入らないよう、今日のお店は貴方達の貸切にしたの!」

「どうしてですか?」

「オメーをここに連れてきたのにはちゃんと意味がある。まぁ詳しい話は、このマリアンヌさんに聞け」


この青髭…そんな可愛い名前だったのか。

…とジムは思(以下省略)


「実はね、今日ここを貸切にしたのは、このクラブの長、エルヴェさんを励ます会を行うためなの!」

「エルヴェさん?なんでその人を励ますのに俺が?」

「実は彼…というか彼女、最近失恋しちゃったみたいで落ち込んでるの。
それが今までにない超タイプな人だったらしくて、落ち込み方が尋常じゃないの!
もう自室から2週間出て来ないのよ〜」

「へぇ……で?」

「失恋して傷ついた時は新しい恋に目覚めさせるのが一番!てなわけで、ナイジェリーナにエルヴェさんの新しい恋のお相手を見繕ってくれるように頼んだの!」

「へぇ……で?」

「で?って何をおとぼけボーイかましてんの!それがジミーよ!ジ・ミ・イ!」

「へぇ……で……





????????」




繰り返しの言葉と同時に、頭上に大量のカラフル「?」が浮かぶ。


「え?ちょ…ごめんなさい。最初から真剣に聞いてたはずなんだけどよくわからなかった」

「実はね、今日ここを貸切にしたのは、このクラブの長、エルヴェさんを励ます会を行うためなの!
実は彼…というか彼女、最近失恋しちゃったみたいで落ち込んでるの。
それが今までにない超タイプな人だったらしくて、落ち込み方が尋常じゃな…」

ジム「聞き取れなかったの『わからなかった』じゃないから!え?だっておかしくない?そのエルヴェさんって…その…男だよね?」

「(ピー)は付いてるわよ☆」

「…あの…俺も(ピー)付いてんだけど…」


















「ナイジェリーナ、テンメェ、ふざけんなよッ!!!煤v


ジムは何食わぬ顔で隣に座っていた男の胸ぐらに掴みかかった。


「何よ、急に」

「なんでお前もオカマ口調になってんの!?
じゃなくて!いきなり連れて来られて、男の新しい彼氏になれ!?
なんなの?オカマだから向こうが彼女?え?俺は何?わかんねぇよ!!」

「まぁそう怒んなって。仕方ねぇだろ、お前以外来てくれそうな奴いなかったんだから」

「じゃぁお前がその人の彼氏になりゃいいだろ!?」

「いやだって…俺は別にゲイじゃねーし」

「俺だって違うから!しかも俺には歴とした恋人(女)がいるからな!」

「相手が女じゃなきゃ、ビッキーも別にショックじゃねーだろ」

「彼氏を男に取られた時点でショック倍増だわ!!」



とりあえず、周りのオカマ達が宥めて興奮したジムをソファーに座り直させる。


「やだわ、ジミーったら可愛い顔して意外と熱い部分があるのね。燃えるわぁ」

「やめてください」

「でも、さすがナイジェリーナね!ピンポイントでオカマの好きそうな人を連れて来るなんて!」


ぞわっ

周りのオカマからの集中視線に背筋が凍る。



「不憫で不幸的なオーラを漂わせて、思わず守ってあげたくなっちゃう」

「舐め舐めしたくなるベビーフェイスね…。肌も綺麗じゃない」

「お喋りも一生懸命で、まるで手のかかる坊やみたい」

「…んふぅっ!なぶってあげたいわぁ♪」

「ス、ストップ!無理!俺には無理!!ナイジェル助けて!」


迫ってくるオカマ軍団に恐れをなし、隣のオッサンに助けを求めてしまう。


「お前、オカマに好かれるランキングで2位だったからな。俺の目に狂いはなかった」

「お前も3位だったろ…」


おかしな汗を拭きながら、ジムは少しでもオカマ達から離れようとスペースを空ける。


「んな怯えてねーで、とりあえず一発やってこい」

「やってこいって何を!?え、マジ無理だって!」

「仕方ねーだろ。それで今日の酒代タダにしてもらったんだから」

「お前、俺の貞操をなんだと思って…ウワッ!」


「んもう!ジミーったら見かけ通りのピュアシャイボーイなんだから!」

「嫌なものは嫌だって!」

「一度男との恋愛を経験すれば価値観が変わるわよ!」

「そういう問題じゃないから!ちょっと待って!どこ行くの!?」


「「ワッショイワッショイ」」



オカマ軍団に担ぎ上げられ、別の場所へ強引に運び出され始める。

ジミーおみこしを後ろから眺めながらナイジェルも付いて行き、辿り着いたのはこれまたド派手な扉の前だ。

「エルヴェのお部屋」とわざわざ可愛い壁掛けもある。


「もう…なんなんだよ…」

「うふふ!何事も経験よ、ジミー!」

「それじゃ、呼ぶわよん♪」


エリザベート(モヒカンのオカマ)がその扉を2回叩き顔を近づけた。


「エルヴェさん?アナタに会いたいって言う男が来てるわ!」

ジミー「言ってねぇよ」

「お願い、開けて?」


















少しずつ扉は開いたが、間は数センチだけで姿は見えない。

ジムは盛大に疲れたため息を吐き、仕方ないと顔を扉に近づけた。


「エ…エルヴェさんですか?初めまして。ジムといいます」

「…………。」


自己紹介をしたものの返事はない。


「えっと…し、失恋したそうですが…元気出してください。生きてればきっと良い事がありますよ」

「…………。」



励ましの言葉をかけても、やはり返事はない。

ちゃんと聞こえているのか?

相手に声は届いていると信じて、ジムは言葉をかけ続ける。


「俺も二十歳の頃、毎日会ってたはずの彼女から

『彼氏がいる事を忘れて他の男と付き合っちゃったから別れて』

と、フラれた事がありますが、それでもこうやって生きてます。
だからエルヴェさんも落ち込まないでください」

「…………。」

自分の悲惨なエピソードを話しても無反応。


すると、扉の隙間から少しだけ顔が見えて…

ホラーのような金色の瞳と一瞬目が合った。




「ッ…!」


ガチャンッ!!


結局返事も何もないまま「エルヴェのお部屋」の扉は再び固く閉じられてしまった。


「………。」



な…なんなんだ、一体(怖)

少し目が合ったけど、全然姿も見えなかった。

何の収穫も得られなかったジムは、仕方なくオカマ軍団の元へ戻る。


「どうだった!?」

「扉を閉められてしまいました」

「あらそう〜」

「大丈夫よ、ジミー!元気出して!アンタにはアタシ達が付いてるわ!」

「なんで俺フラれたみたいになってんの」


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