ジミーの心変わりの指示により、仕方なく説得するためにナイジェルがボビーに電話をかける事に。

アドレスから奴の名前を探し出し、渋々通話ボタンを押してみる。



ピッ



『もっ…しもし?』

「あぁ、ボビーか?」

『ナイジェル君じゃないか…脅かさないでくれたまえ』


やはり「バー」という単語を聞いた時点から、若干俺達にも警戒心を持っているようだ。

あの無神経宇宙人をこんな状態にしてしまうなんて、やはりこのIK●Oただ者じゃない。



「今、何してんだ?」

『今かい?1面のボスを倒してるよ』


まずは警戒されないよう、当たり障りのない話から。

本題を切り出して、果たして素直にこちらまで来てくれるだろうか。


「えっと…そのな…」

『何だい?』

「エルヴェさんっておん…男の人、知ってるよな?」

『………。』

「少し会ってやってくれな…」








タタタッタラ♪タラララ(ブチッ)



















ガララララッ!

ガシャッ!

ダッダッダッダッダッ!






「あっ!アイツ、単3電池を買いに窓から逃げやがった!」

「なっ…なんだと!?ふざけるな、俺の純潔(と彼女の命)がかかってるってーのに!」

「とにかく行くぞ!」





ボビーを捕まえるため、急いで店を飛び出したナイジェリーナとジミー。

すると長いパンツを捲り上げ、男全開のスピードでエルヴェも後を追って走り出す。

「ちょっ…お前は残ってろよ!」

「アタシは1秒でも早くボビーちゃんに会いたいの!」

「ったく、勝手にしろ!」




ダダダダダ!!!



「「え?」」




とても一人とは思えない激しい騒音が聞こえる。


振り返ると、何故か他のオカマ達までもが全員後ろに付いて走って来ていたのだ。


ナイジェル「なんでお前らまで付いてくんだよ!関係ねぇだろ、帰れ!」

オカマA「オカマはね、情に厚いのよ!!」

オカマB「今更恥ずかしがってんじゃないわよ!アタシ達、もう友達でしょ!?」

ジム「オカマ引き連れて走ってる時点で、周りの目が恥ずかしいんだよ!!」


後ろの方々はメイクの取れかかった恐ろしい形相で全力疾走している。

なんだか端から見ると、ジムとナイジェルがオネェ軍団に追いかけられているようだ。

走り出して20分。

ようやく自分達の建物に到着し、ボビーの部屋へ向かうが、もちろん中はもぬけの殻。

開いた窓から夜風が吹き込んで、カーテンをヒラヒラと揺らしている。


「チッ。やっぱり逃げてるな」

「とりあえず探そう。まだ遠くへは行っていないはずだ!」



先頭を引っ張るジムは一層焦りを見せている。

大勢で玄関から外へ出て、裏口へ向かうと…



「あれ?」

そこには何故か大きな洗濯かごを持ったビッキーが立っていた。


考えてみれば今日の洗濯当番は彼女。

干した洗濯物を取り込む時間がなかったのか、今からその作業に取りかかろうとしている所だったようだ。


「ちょっと、メンディこんな時間にどこ行ってたの?」

「あ?あぁ…ちょっと呑みにな。ジムだけど」

「もうー!せっかく洗濯物取り込むの手伝ってもらおうと思ったのにいないから、サラにお願いしなきゃいけなくなったんだよ!」

「ご、ごめん」


ぷくっと頬を膨らませた彼女は、すっかり乾いた衣類を片手で雑に取り込み始める。


「お前、ボビー見なかったか?」

「ボビー?見てないよ。なんで?」

「ちょっと探しててさ」

「川にタイツでも洗いに行ってるんじゃないの?」



適当に返すあたり、本当に何も知らず口止めもされていないように見える。

そこへ洗濯かご2号くんを持ったサラがやってくる。



「あら、ジムにナイジェル。おかえり。後ろの人達は?」

オカマ「「トモダ…」」

ジム「友田さんだ」

「え?誰が?」

「えっと…全員」


冗談じゃない。

こんなのが友達だと思われたら、今日をもって俺はお友達がいなくなる。


「そ…それより俺達ボビーを探してるんだ。サラ、知らないか?」

「知らないわよ。山に芝刈りにでも行ってるんじゃないの?」

「なんでお前ら、もれなく桃太郎に話を繋げようとするんだ」


この反応。

おそらくコイツも知らない。

リッキーも今週は実家に帰ってしまっているし、やはり手当たり次第に探すしかないか。

そこで、オカマ集団の先頭に立っていたエルヴェがジムの肩を叩いた。


「ジミー。この女達誰よ?」

「ジムです。コイツらも俺達の同業者。まぁ…貴方は深く関わらなくてもいいで…」



サラ「ちょっと。もう少し丁寧に取り込みなさいよ、ビ「ワーッ!!!!!煤v


突然叫び声を上げたジムに、サラは驚いて洗濯かご2号くんを地面に落としてしまった。


「な…何よ、ジム。いきなり叫んで」

「へ?あ…ま、満月だからな…つい」

「こんなに曇ってるのに?あ。それよりさっき洗濯ばさみを散らかしてたの貴方でしょ、ビッ「ウォォォッ!!!煤v

サラ「だからなんなのよ!さっきから!」

ジム「え…あ、そ…妙に血が騒いでしまってな、満月だから」

「馬鹿なんじゃないの、死ねば?」


サラは冷たい捨て台詞を吐いて、洗濯ばさみを取りにその場を去って行った。


咄嗟にビッキーの命を救ったジム。

それと同時に俺は言葉の中で一度殺されたが。

このエルヴェとかいうオカマに彼女の名前が知られたら一巻の終わりだ。



「なんなのよ、ジミーったら変な子ね」


- 766 -

*PREV  NEXT#


ページ: