……………


夜7時。

昨日より早めに研修が終了し、営業先の事務所を出た。

楽しそうに話す姿から、特に問題はなかったようだ。

場所があまり変わらなかった事もあり、3人が向かうのは昨日と同じホテル。

ちなみに部屋番号も同じだ。


期待していた料理は、昨日と違い魚料理。

魚のフライにカルパッチョ、なんとお寿司も出てきた。

これまた地元で採れた魚介類を使用しており、肉とはまた違う美味しさ。

全員仕事疲れで腹ぺこだった事もあり、今日の料理もあっという間に平らげてしまった。

























ガシャ





「おさきに…って言っても誰もいないか」


ここはサラひとりが泊まっている306号室。

シャワー室から出た彼女はバスタオルで体を拭き、用意しておいた動きやすい服を手に取る。

グレーのTシャツにビッキーから貰った黒のパンツだ。

「地味だからあげる」なんて言われて貰ったけれど、どこが地味なのだろう。

彼女にとっては色の付いていない服は全て「地味」に認識されてしまうのか。

まぁ服代が浮いたと考えたら得だし、「うん!そうね!」と心無い返事をしてしまった。

着替え終わり時計を見ると9時過ぎ。

仕事が早く終わった事もあり、昨日よりも時間的に余裕がある。

テレビを観るか漫画でも読むか…

悩んでベッドに座り込んだ。



時間帯以外、行動は昨日と全て同じ。



突然、彼女の頭にその光景が蘇ってきた。


広がった夜景とだらしのない声。そしてタバコの香り。



今日ももしかして、あの時間に窓を開けたら彼に会える?







「………。」






ふと我に返り、寒気を感じて首を横に振った。

なんてお姫様みたいな似合わない台詞を考えてるんだろ、馬鹿。気持ち悪い。

あんな男ついさっきまで一緒にいたし、明日にだって会うじゃない。

話しても別に特別楽しくないし、タバコ臭いし親父臭い。

それに何より寝不足は肌の大敵だ。

馬鹿してないでたまには早く寝よう。


余計な事を考える前に、ドライヤーで濡れた髪を乾かす。

せかせかと終わらせた後に部屋を気持ち軽く片付けて、すぐにベッドに向かった。

どうか今日は朝まで目が覚めませんように。

そうだ、羊でも数えながら眠ろう。(なんだかそれがメルヘン女子っぽいけれど)


- 775 -

*PREV  NEXT#


ページ: