「あー…終わった終わった」


大きく背伸びをして、自分の右肩を揉んだのは今日も歩く度にアホ毛が揺れるジム・リバース。

もう片方の手に持っているのは新しい運転免許証だ。


「ルーベンス、顔普通で全然楽しくなさそうー!」

「ジムだ。当たり前だろ、プリクラじゃないんだから」


毎度お馴染みウィンディランの6人がやってきたのは、同じ街にある自動車学校兼運転免許センター。

どうやらここで、各自持っている自動車免許証の更新を行ったようだ。

更新が無事に終了して受付を抜け、外へ出るために並んで廊下を歩き続けている。



「ん?」

そこでジムとすれ違ったのはまだ若い学生。

周りを見渡すと高校生くらいの若者が、あちらこちらで見受けられた。


「そっかぁ。学生達は免許を取りに来る季節だもんな。懐かしいなぁ」

「あら、貴方にもそんな時代があったの」

「当たり前だろ。まぁ俺は実技筆記共に一発合格だったけどな」


昔の自慢話だがサラに興味のなさそうな返事をされ、別にリッキーが口を開く。


「こうやって皆免許証を取るんですね」

「こうやってって…。そういえばお前はなんでその若さで免許を持ってたんだ?」

「俺は飛級して専門学校に通っていたので」

「この天才が」


最年少の頭を小突いて、再び廊下を歩き出す。

それにしてもセンター内は若者達で賑やかだ。

それぞれが教科書を読み合ったり、車の運転や教官の感想等で盛り上がっている。

騒々しいし早く出るか。

そう考えていた矢先だった。









「あ!ビッキーちゃん!!」



…ッ!

この声は…


嫌な予感がして振り返ると、案の定予想していた人物がこちらへ向かって突進してきていた。



「あ、七音君!」

「元気だったぁぁあああ…フグッ!」


抱きつく直前でジムに止められ、その反動で床に尻餅をついてしまう。


「アイッテテ…相変わらずの鉄壁ガードだなぁ」

「お久しぶり、美空七音君」

「なにそのよそよそしい言い方」



美空が尻を抑えながら立ち上がる頃には、他の男達も続々集まってきた。

人気バンド、weather lifeだ。


「皆さん、ご無沙汰しております」

「雨宮君、久しぶりだね。皆でどうしたの?こんな所で」

「我々も年齢的な所もあり、マネージャーの勧めもあって自動車の免許証を取りに来ているんです」

「そうなんだ。へぇ、君達みたいな芸能人もこういう普通の場所に教習に来るなんて意外だな」

「さすがにスケジュールもタイトですから、我々だけ別室や特別コースでやらせて頂いています。
それに他の高校生と一緒に受けていると何かと騒ぎになってしまうので」

「ふーん、やっぱりそうだよな。同じ部屋にweather lifeがいるとなると、皆それ所じゃなくて勉強にも集中出来ないだろうし」


雨宮から話を聞いてジムが納得していると、横からひょっこりとビッキーが現れた。


「面白そう!ねぇねぇ、私達も君達の特別授業見ていっていい!?」

「コラ、ビッキー。遊びじゃないんだ。雨宮君達は忙しい中…」

「構わないんじゃないですか?我々も孤立して、少々寂しい中で授業を受けていましたし」

「え…でも」


彼の言葉に困惑する。

免許を取る勉強ともなると、さすがの俺達だって邪魔になるだろう。

しかし…


美空「賛成賛成大賛成!!もう毎日周りは男ばっかで教官もオッサンだし、癒やし不足!
ビッキーちゃんが隣にいれば僕超頑張れる!」

雨宮「本当に真面目に頑張れたら良いんだがな。響介達はどうだ?」

日晴「俺も賛成っすよ!なんたってジムさん達は走りのプロなんすよ!特別講師として招いて欲しいくらいっす!」

雪之原「僕も面白そうだから賛成〜」


クラウディも笑顔でコクリと頷いている。

本人達を前に…という部分もあるだろうが、反対している者はいないようだ。


「でも…さすがに邪魔にならないかい?」

「そんな事ないっすよ!」

「僕からも教官の方々にお願いしてみます」

「そ…そう?なら…いいかな」



ナイジェル「面白そうじゃねーか。オジサンはこう見えても免許はいくつも持ってるからな」

サラ「私もいいわよ」

リッキー「俺も参加したいです!」

ボビー「僕もOKさ!僕の華麗な宇宙ライディングジャンプを伝授してあげよう!!」

雨宮「交通ルールの範囲内でお願いします」


他のバイク組メンバーも仲間に混ざりたいようだ。

全く、コイツらは面白そうだと思ったらすぐに調子に乗るんだから。

…まぁ、なんだかんだ言いながら俺も少し興味があるんだけど。




結局雨宮が教官に事情を話した結果、センター側から快くOKを貰い、

6人はweather lifeの自動車教習の付き添いとして本日のみ参加する事となった。


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