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ガチャ
「お疲れっす」
「おつかれ〜」
「お!ヒーちゃん、お疲れちゃん!」
事務所の扉を開けると、窓際で話していた雪之原さんと美空さんが挨拶を返してくれた。
正直、美空さんがこんなに早く学校を出て集合してるのは珍しい。
「ん?なんか今日テンション低くない?」
「別になんでもないっすよ」
カバンをロッカーに放り投げ、手も洗わずにコンビニで買ったおにぎりを食べ始める。
お気に入りのエビマヨとカルビだ。
「食欲があるなら元気じゃん〜」
「なんっすか。俺は食べ物さえ与えとけばいいみたいに!はぁ、ごちそうさま」
「早っ!」
ガチャ
「あぁ、響介。来てたのか」
「雨宮さん、クラウディさん。うっす」
口元に米粒が付いた状態で挨拶をしたのは、部屋に入ってきた雨宮さんとクラウディさん。
別の部屋で打ち合わせをしていたようだ。
「丁度よかった。お前に頼みたい事があるんだ。近所の花屋で花束を買ってきてくれないか?」
「花束?」
「あぁ。実は、イーストサイドのマークさんが今日で引退になるらしいんだ。
今夜ビルで挨拶をするらしいんだが、我々も音楽番組で世話になってる人だし、挨拶をしておいた方がいいと思ってな」
イーストサイドのマークさん…?
あぁ、あのディレクターさんか。
「そうなんすか。いいっすよ」
「お前のセンスではとんでもない花の選択をしそうだから、必ず種類は店の人に選んでもらう事。わかったな?」
「はいはい、わかりまし…っ…」
そう返事をしてふと思った。
また、何も言わずに二つ返事でOKをしてしまった。
美空さんだったら一度必ず駄々をこねるはずだろうに。
俺ったら…根本からこのキャラに向いてないんだろうか。
「どうした?」
「あぁ、いや!なんでもないっす!行ってきます!」
こんな事を考えてるなんてメンバーに知られたら、笑われるに決まってる。
この気持ちを悟られる前に、俺は急いで部屋を出た。
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