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「響介。…響介!」
「ッ!あ、すいません。何でしたっけ?」
雨宮さんとの打ち合わせの途中、俺は気が遠くなってしまっていた所で我に返った。
「大丈夫か?お前、この間からずっとそんな調子だな。さっきもアシマネに叱られていたようだし」
「す、すんません…」
「体調でも悪いのか?」
「そういう訳じゃ…」
「そうか。少し疲れているようだし、今日はここまでにしよう」
軽く肩を叩かれて雨宮さんは去っていった。
普段ならあの人だってガッツリ叱るはずなのに。
俺の調子を見て気を遣ってくれているのか。
鈴ちゃんへの告白から1週間が経っていた。
あの花畑のような日々から一転、抜け殻のような毎日を過ごしている。
雪之原さんも俺のテンションの下がり具合に、声もかけられない様子。
そうだよな…自分が行けと言ったのにこんなに落ち込んでたんじゃ…フラれたんだと思うよな。
鈴ちゃんが女性ではなく男性だったと初めて聞かされた時
ショックではなかったと言えば嘘になる。
しかし、今の心のモヤモヤはそれが悲しいからではない。
『少し時間が欲しい』
何も考えず咄嗟に出てしまったあの言葉。
それを聞かされた瞬間のあの子の絶望したような顔。
あんな顔…想像もしていなかった。
…また…やってしまった
そんな顔にも見えた。
雪之原さんが言っていたけど、彼女は高校に入ってからだけでも既に多くの男性から告白を受けているが誰とも付き合っていない。
それはこうやって自分が男性である事を打ち明け、ほとんどの男がそれを知って去ってしまったからだ。
俺も…その男達と同じだったのだ。
俺は咄嗟に…鈴ちゃんを受け入れられなかった。
今の時代は性の境界線がかなり薄くなっている。
男性同士、女性同士の恋愛だって認められつつある世の中。
俺だって偉そうにその意見は賛成派だったし、平和的に認めているつもりだった。
それが自分に関係のない事だと、心のどこかで思っていたから。
しかし、それが自分に当てはまった瞬間…とても怖くなった。
男性と付き合う自分を受け入れられるのか。
世間からどう見られるのか。
そんな事が一瞬だけ頭をよぎってしまった。
結局僕は…恋愛面においても中途半端なキャラクターなのか…
今日は休日。
部屋にいても思い詰めてしまうだけなので外に出でみたが、やはり気分はすぐれずベンチに座り込んで意味もなくスマホを触っていた。
こんな時にやってしまうのが、しょうもないエゴサ。
『美空君最高!』
『クララ推し〜♡』
仲間達が絶賛される中で稀に出てくる
『日晴は微妙』
俺が好きだと言ってくれるファンももちろんいるのに、ネガティブワードが頭にこびりつき、その嬉しい言葉が全く入ってこない。
本当にしょうもない暇つぶし。
自分でもわかっている。
…何やってんだろ、俺…
ピコンッ!
「…っ」
生気のない顔で画面を見ていると、丁度通知が入った。
雪之原さんからのLINEだ。
『暇でしょ〜?ご飯食べようよ(・∀・)』
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