……………

「ハァッ…ハァッ…なんとか逃げ切れたみたいだな…」

ジムは息を切らしながら、押していたナイジェルの背中から手を離した。

彼はその瞬間に床に座り込む。


「ッ…ジム?何やってんだ?こんな所で」

「何やってんだって…警備員に見つかったんだろ」

「へぇ」

「『へぇ』って、何?覚えてないの?」

「………。」

「オマッ…気絶してたの!?普通に走ってたじゃん!」

「他の連中は?」

「へ?」


ナイジェルに言われて、ジムは今の状況にようやく気がついた。

周りに自分とナイジェル以外、誰もいないのだ。

どうやら夢中で逃げている間に4人と逸れてしまったらしい。




……………




「ちょっと、どーすんのよ!皆と逸れちゃったじゃないの!」

「いいじゃないかい!それより僕とこれからふたりでテレビ局デートしないかい♪」

「ふざけた事言わないで!」


こちらは廊下に立っているサラとボビーだ。

彼らも走っている途中に他の4人と逸れてしまった事に今まで気づかなかったらしい。


「まぁ、とりあえず今からはビッキーちゃん、その他3人を捜すしかないね。大丈夫!イケメンの僕が敵から君を守ってあげるさ☆」

「そうですか…どうもありがとうございます…」


これからボビーとふたりきり。

サラは絶望的なオーラを漂わせ、壁に頭をつけた。




……………




「キャァ♪ついに深夜ホテルデートも本番ね!」

「いや、ここホテルじゃないですよ」


こちらは見知らぬ大広間に出ているビッキーとリッキー。

彼女は他のメンバーと逸れたというのに、全く怖がっていないのか。

むしろ邪魔者がいなくて喜んでいるようにも見える。


「とりあえず、さっきの場所のどこかに俺の携帯があるはずなんです。もう一回付いて来てくれますか?」

「当たり前じゃなーい♪その代わり悪者が現れたらちゃんと王子様みたいに私を守ってよね!ダーリン!」

「どちらかと言うと、俺達の方が不法侵入してるから悪者なんですけどね」


彼女は部屋の空気に似合わない無邪気な笑顔で、リッキーの腕に絡みついた。



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