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……………
ウィンディランに戻った時には、もう夜の9時を過ぎていた。
誰もいない玄関を抜け、メインルームの電気をつける。
「サラ、今日は本当にありがとうございました」
「こちらこそ。楽しかったわ」
「せっかく案内してもらったのに、何も思い出せなくてすみません」
「いいのよ」
朝に待ち合わせをした自販機の前。
彼には似つかないお辞儀をされ、面白くてばれない程度に口元が緩んだ。
「サラ、よかったらまた一緒にドライブに行ってくれませんか?」
「………ッ…」
「俺…貴方の事誤解してたみたいです。もっとクールというかドライというか…俺みたいな男には関心がないと思ってました。すみません」
「いや…」
「でもちゃんと話してみると、よく笑うし優しいし…貴方といるとなんだかとても居心地が良いんです。だからまた案内をしてもらう時も、サラが一緒だったら嬉しいなと」
「ナイジェル…」
その言葉を聞いて、胸の奥が溶けてしまいそうになる程熱くなった。
喜んではいけないとわかっていたのに。
今のナイジェルは昔のナイジェルではない。
顔や声は同じでも全く別の人。
何度、自分に言い聞かせても…
その言葉が身に染みる程嬉しかった。
「わかったわ。また…一緒に出かけましょう」
「ありがとうございます。では、おやすみなさい」
ナイジェルは再び軽く頭を下げ、そして階段を上がっていった。
道を案内するだけ。
やましい関係なんて何もない。
衝動的に「YES」と返答してしまった自分に、言い訳のごとく何度も言い聞かせた。
今日は…ゆっくり眠れるだろうか。
どう思う?ナイジェル…
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