20


……………


その日を境に「道案内」として、サラはナイジェルと出かける事が多くなった。

本当にやましい関係は何もない。

思い入れのある場所へバイクで走って、軽く雑談をして帰る。


ただそれだけ。


しかしたったそれだけのその時間は、彼女にとってとても大切な時間へと変わっていた。

それと同時に、毎回自分に言い訳をしてしまう悪い癖が出てしまう。

今日だってほら。





「今日もありがとうございました。こんな遅い時間まで」

「ううん。私も楽しかった」


メインルームに誰もいない夜の時間帯。

いつものようにナイジェルに別れを告げ、彼は先に部屋に戻り、そしてサラはキッチンで水を飲みながら大きなため息をついた。



「……………。」



静かな室内。


今日の彼の顔が頭によぎる。

笑った顔。

驚いている顔。

残念そうな顔。



私は…



葛藤、自問自答。

幾度繰り返しても、結局私は彼と出かけてしまう。

もう一杯水を汲み、それも口の端から多少こぼしながらも一気に飲み干した。


そして、階段をフラフラと頼りなくゆっくり上がる。


月に何度も、これの繰り返し。

廊下を歩き、そして見慣れた自分の部屋の前に立つ。





ガチャン





「………ッ…」



あれ…?電気がついている。

消し忘れて出てしまったのだろうか。


荷物を扉近くに置き、部屋の奥へ進む。



おかしい。朝に電気なんかつけなっ…





「おかえり、サラ。待ってましたよ」




壁側に置いている大きめのソファー。

ひとりの男がテレビもつけずにそこに座っていた。


「……っ…」



リッキーだ。


驚いて声が出ない。


そのまま立ち上がり、彼は彼女の前まで歩き始めた。

いつもみたいに柔らかい笑みを見せているが…

目は笑っていない。


「リッキーッ…ごめん」

「どうして謝るんですか?」



怖い…。

今は…彼の目が。



「…………。」

「随分遅かったですね。どこに行ってたんですか?」

「……ッ…」


恐らく、全部わかっているのにわざとこう訊いてくる。

もちろん私も反論が出来なくて口を紡ぐ。

確かに…ナイジェルと出かけるようになってから休日の予定が埋まり、リッキーと会う時間は最初の頃に比べて少なくなっていた。

事実、ここ2ヵ月程は彼とプライベートでは言葉をいくつか交わしただけ。

手も握っていない。

でも…彼は何も言わなかった。

何も言われなかったから、私はあの人と出かけ続けていた。

心のどこかに罪悪感はあって…いつそれを追求されるかが怖かった。


その瞬間が…多分今。


黙り込んでいるサラを見て彼は小さくため息をつき、そして自分のポケットから彼女の部屋の合い鍵を取り出した。

それは付き合い始めた日に私が渡した物。


「どうして俺がこれを持っているか知ってますよね?」

「…………。」

「今の貴方の恋人は俺だからです。意味…わかりますか?」



いつもより低めのトーンの声。

明らかに怒ってる。絶対。



「ごめんなさい、リッキー…。でも…私はただっ…」



ガチャンッ!



「キャッ!」


壁に無理やり押し付けられる。

突然の行為と強い力に抵抗が出来ない。


「聞きたくありません。もう…何も…」

「…ッ…」





強く肩を握られて痛い。

彼は意味深に私に笑ってみせた。














「サラ。…しましょ。今ここで」














「リッキ……ンッ…!煤v



強引にキスをされる。

無理やり彼女の口内を割き、舌を中まで絡ませ


…チュッ!……チュパッ!


「んぅぅっ///…んはっ…!煤v


服の中を手でまさぐられて、片手でブラのホックが外されてしまう。


「リッキッ……やめてっ!」

「前はよくしてたじゃないですか…どうしてダメなんですかっ…」

「…イヤッ…ンッゥ///…離してッ!」


可愛い顔をしていても男。

押さえつける力が強くて、女の力では到底敵わない。

されるがまま服を乱され、押し上げて出てきた乳房に吸い付かれる。



「…チュパッ!…クチュックチュッ…んっ!」


「はぁあっ///!…アッアッ…リッキッ…ふぁっ…ダメッ…///」


涎の垂れた口元に、ピンク色に染まった頬。

彼はもう止まらなくなり、スキニーのチャックを開けて中に手を入れてくる。


「やぁっ…///はっ……あっ!…くっ///」

「…サラッ……俺は今でも…貴方の事愛してますよ」


―…クチュッ…クチュッグチュッ…!


指で集中的に攻められ、立っていられなくなり彼の肩に掴まる。


「ハァッ…!あっあ///…ごめんなさいッ…許してッ…アァッ!」


指の動きは止まらない。

嫌らしくて激しくて…我慢出来ないっ…

熱いっ…体が燃えるように熱くておかしくなりそう。



「…貴方は…ッ…俺の事を愛していますかっ?」


「当たり前でしょっ…あっ…やぁっ…止めて、お願いッ!///」



…グチュッ!グチュッ!グチュッ!


「ダメッ…!はぁぁっ…!イッちゃうッ…!リッキー!!アアッ!」


肩に必死に掴まりそして…





「はぁっ……はぁっ…///…んっ…はぁ…!」


絶頂を迎えた彼女は背中から壁を伝い床に座り込んだ。

凄い…濡れている。

大きく肩を揺らしながら呼吸をし、顔を上げる気力はない。



「…………。」



リッキーは何も言わない。


「勘弁してよ、もう…」

「…………。」

「私が悪かった…。もう…あの人とは会わな…」


「俺の事…愛してくれてるって…サラ、言ってくれましたよね?」


「………ッ…」


「俺といる時間が一番幸せだって。それは今でも…変わっていないですか?」


「リッキー…」


自分の濡れた指先を舐める彼。

今までに見た事もない猟奇的な後輩の顔に、体が震えて目を逸らす事が出来なかった。






ガチャンッ!!


「…イヤッ!」



突然立ち上がらされたかと思うと、荒々しくテーブルに押し付けられる。

上半身をうつ伏せにされ、足は立たされたまま。


「リッキーッ!何すんの!」


すぐに彼は自分の穿いていたジーンズのチャックを開け…



…ズチュチュチュッ!!



「イャァッ!やぁっ…痛いッ!///」



驚く間も与えないまま自分の体を。

そして無理やり腰を動かす。



ズチュッ!ズチュッ!!


「イヤッ!…あっ///…やめてッ!やめて!そんなッ……はぁぁっ///!」


両手首を背中で押さえつけられ、強引に激しく奥まで何度も突かれる。

エッチというよりも、ほぼ犯されている。


彼は私に何も言わない。

無我夢中で息を切らし、たまに声を上げるだけ。

振り返る事が出来ないが叩きつける水音が何度も耳に入り、その度に痛みとおかしな感覚が体を襲う。



「アッ!…アアッ///!…ダメッ!ふぁっ…あ!」

「嫌ッ!!ハァッ!あっ!」







そうですか!よかった!―…



美味しいっ!凄く美味しいです!―…





一緒にツーリングをした日。

壊れそうな私を優しく抱き締めてくれた彼。

買い物袋を持ってくれる彼、ハンバーグを美味しそうに頬張る彼。

どんな時も、貴方は弟みたいな可愛い笑顔だった。









「ハァッ!んぁっ!やめてっ、お願い!!」


そんな彼が欲に溺れる男になっている。

前はもっと貴方とのやり取りは気持ち良かったはずなのに…!


こんな…!



ズチュッ!ズチュッ!ズチュッ!!


「アンッ///アンッ!あっあっあっ///…こわっ…壊れちゃうッ!…はぁっ…アッ!」

「ナイジェルともっ…こんな事やったんですか!?」

「そんなわけないでしょッ!はぁっ…あっ!お願いッ、抜いてッ///」



止めるはずなどなく勢いは増す。

もう片方の腕が後ろから回り、テーブルに押し付けられている胸を触る。


「ハァッ!ハァッ!…サラッ…俺ッ…!」


ズチュッ!!ズチュッ!!



快感に気持ちが高ぶる彼。


ダメッ…もうっ……////きちゃうッ……


彼女が歯を食いしばった瞬間、リッキーは全ての欲を私の中に吐き出した。














「…はぁっ…はぁっ…」

「はぁ…はぁ…///…あっ…はぁっ」


事を終えるが、彼は彼女の中から出ようとしない。

息を切らし、グッタリとテーブルに倒れ込んでいるサラ。

性欲の全てを受け止め、体がまるで痙攣したよう。


その体を背中から強く抱き締めた。



「リッ……キ…」

「怖いんですっ…俺…」


まだ息が荒い彼女の白いシャツに顔を埋める。


「ナイジェルに…また貴方を取り返されてしまうんじゃないかって。

何日も何日も…ずっと待ってました。

貴方が彼への想いを断ち切って…俺の所に戻ってくる事を…」


強く握られシャツにシワが寄る。

途端に彼の怖かった声が涙声に変わった。


「でもっ…やっぱりもう耐えられません。こんなに苦しいくらいなら…いっその事…全部ぶっ壊してやりたくて…」

「…………。」



「愛してます、サラ。

もう…2番目なんかじゃ嫌です。

今の俺は…貴方を手放す事なんて出来ないから…」



最初は…ナイジェルの存在を忘れさせる為だけに、私を抱いてくれたのかもしれない。

だけど今は違う。

本気で私を愛してくれている。


それは忘れさせて欲しいと願った私にも責任がある。


「リッキー…ごめんね…」


背中が涙で濡れる感覚を覚え、彼の手を強く握った。




ナイジェルの事は…もう忘れる。

たとえ彼の記憶が戻ったとしても…


私はもう…この人を裏切る事は出来ない。



ごめんね



ごめんね




何度も彼に謝り、



ふたりで泣いた。




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