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……………
「サラ」
「…?」
呼び止められたのは廊下を渡って自室に入る直前だった。
隣の部屋から顔を出したナイジェルは、こちらへ来てと手招きをしている。
私は開きかけていた扉を閉め、呼ばれるがまま彼の元へ歩いた。
「どうしたの?」
「次の日曜日、空いてない?一緒に行きたい所があるんだけど」
「………っ…」
少し考え込む彼女。
「ごめんなさい。次の日曜日は予定が入ってるの」
「あ、そうなんだ」
ナイジェルは残念そうな顔を見せた。
誘ってくれたのは嬉しいが、やはりこれも仕方ない。
「ごめんね」
「いや、気にしないで。また誘うよ」
あの日。
リッキーとの約束以来、私はナイジェルの誘いを3回は断った。
これも自分自身にけじめをつけるため。
それに、もう決めたから。
私は彼を裏切らないって。
彼をあんな風に怒らせ、そして無理やり犯してしまわせたのにも、全ての原因は私にある。
あの優しいリッキーをあそこまで追い詰めてしまったのだ。
もうこれ以上…そんなあの子の姿は見たくないし、あんな悲しい顔もさせたくない。
それに事実、来週の日曜日は本当に彼と一緒に過ごす約束をしている。
「断る」という選択肢しか、私には残されていなかった。
「…………。」
「…?どうしたの?こっち見て」
ふと気がつくと、ナイジェルは彼女の顔を目を逸らさずにじっと見ていた。
その視線に違和感を感じ、首を上げて顔を見つめ返す。
「…………。」
「ナイジェル?」
「あのさ…話したい事があるんだけど…」
口を開こうとした瞬間
「サラァァァァッ!!ねぇ、聞いて聞いて!!ボビーをね!やっと殺してきたわぁっ!」
階段を駆け上がってきたビッキーに、目の前の彼はピクッと体を震わせて驚いていた。
「あれ?ナイジェルも一緒だったんだ!何してるの?」
「あ…いや、別に…」
妙にそわそわしている様子。
なんだか、いつもの落ち着いている雰囲気と違う。
「どうしたの?元気ないね?」
「いや、あるよ。じゃ…俺はこれで」
ビッキーが来ると、逃げるように扉を閉めた。
別に普段、彼女の事を嫌っているような素振りは見せないのに何故か突然の行動。
不審感が心に残った。
「?なんかテンション低いね。あ!ねぇ、サラ!今度の日曜日遊び行こうよ!ショッピング行こう!ショッピング!」
「無理よ。私、予定あるの」
「え!?あのいつもグータラしてるサラが!?何?どこ行くの!?」
「どこでもいいでしょ」
「教えてよ!私とサラの仲じゃーん!教えて!教えて!」
「お葬式よ。ボビーの」
…あの人は、肝心な所を言わずに部屋に入った。
話したい事とは一体何だったのだろう。
それになんとなく、いつもより落ち着きがないように見えたし。
「ボビーのお葬式かぁ!じゃぁ私も行ってあげようかな!」
「アンタは明日から刑務所でしょ?」
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