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……………
ジムに注意を受けたその日、私はリッキーの部屋に行く約束をしていた。
なんでも「プリンを自分で作ったから食べに来て欲しい」との事。
彼も彼なりに私の異変に気づいて、元気付けようとしてくれてるのかな。
それにしても、理由が「プリン」だなんて…可愛いリッキーらしいな。
更衣室で服を着替え、夕食を済ませた後に自分の部屋で支度を行う。
まぁ、隣の部屋だから忘れ物をしても10秒で取りに来れるんだけど。
携帯、一応財布、あと服装は…別にこのままでもいいか。
あとは…
コンコンッ!
あ、もう来た。
ったく、気が早いわね。
心配しなくてもちゃんと行くってのに。
扉を叩く催促の音に、テレビの電源を消して玄関へ向かう。
「はいはい、開けますよ」
ドアノブをひねり何の心構えもせずに扉を開けると、予想していなかった人物がそこには立っていた。
「待たせっ…ナイジェル?」
「ごめん、こんな時間に」
「いやっ、全然」
もしかして…この間の告白の返事を聞きに来たのかも。
あの日から既に一週間以上は過ぎている。
私がウジウジして、答えを決められなかったから。
「ごめんなさい。あの件…よね?」
「………。」
ナイジェルは黙って私の顔を見ている。
何を考えているのかわからないけど、多分そう。
「ごめん。私がグズグズしてるから」
「違う。そうじゃなくて…」
私の目を指差す彼。
「クマ…」
「クマッ?」
「最近、順位もかなり落ちてるし…悩んでるんじゃないかと思って。俺のせいだったらごめん」
「…………。」
答えを返せないサラ。
彼は手を下ろした後、少し考えて口を開いた。
「この間のあれ…なかった事にしてもらってもいいから」
「……ッ!?…なんで?」
「付き合ってる男性…いるんでしょ?」
「…………。」
「いない」と否定をしない。
やはり予想通り、恋人は存在するらしい。
「よくよく考えたら、まずそこに俺が入ってくる事自体おかしな話だし。サラの気持ちを考えずに自己的な発言して申し訳なかったと思ってる」
「そんな…」
「話はそれだけ。いきなり押しかけてごめん」
「ナイジェルッ…」
彼は軽く頭を下げると、すぐに左の自室へ戻った。
「…………。」
ひとりドアの前に取り残されるサラ。
「はぁ。何やってるんだろ。私…」
頭を抱え、ふとその瞬間に腕時計が目に入る。
もう時間だ。
行かなければ。
……………
ガチャン。
「…はぁ」
自室の扉を閉め、男もため息をついた。
電気をつける気にもならない。
最初は少し恐いとさえ感じていた女性。
こんなにも心惹かれ、そして手の届かない人だと知って、柄にもなく胸が締め付けられた。
全く。
この歳になって「恋」だなんて
恥ずかしいよな。
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